2020/09/05『本』『ロボット』『聖剣』
図書館は、本の森だ。
本棚にずらりと並んだ背表紙を眺め、僕は様々な本を選び取る。
前から読みたかった本、ちょっと気になった本、必要な知識が詰まった本……。
気がつけば、両手には十冊の本が積み上げられていた。これ以上は借りられないから、貸出処理を済ませてしまおう。
近くにある、小さな『貸出ロボット呼び出し用ボタン』を押す。すると数十秒後には、胸に小さなディスプレイが取り付けられた、二足歩行をするロボットがやってきた。
ポケットから図書カードを取り出し、積み上げた本の上に置く。そして僕が「読み取り開始」と口にすれば、ロボットがすっと右手を伸ばし、図書カードと本の情報を一瞬でスキャンしてくれる。
胸のディスプレイに、僕の名前と利用者番号、そして積み上げた本のタイトルがずらりと並んだ。一番上に書かれた『情報に間違いはありませんか?』という赤文字が、存在感を主張している。
……うん、間違いない。
「貸出処理」
僕のこの一言で、貸し出しは完了。ロボットの口から『貸出中資料一覧』の紙がレシートのように出てくるから、それを受け取って、本を背負っていたリュックにしまう。昔はいちいちバーコードを読み取ったり、貸出カウンターなる場所に行かなければならなかったらしいから、今は便利になったのだなと思う。
さて、帰ろう。
本の森を出てリュックから取り出したのは、さっき借りたばかりのラノベ。タイトルからして『主人公が異世界転生したら、まさかの聖剣になっていた』という話のようだ。読みやすそうだし、楽しめそうだ。さっそくページをめくってみよう。




