2020/08/27『黄色』『旅』『しょっぱい』
どうしようもなく、不安になった。
ずっと続けてきたことをやめる、という行為に対して。
やめてしまったらどうなるのだろう。
そんな問いを、繰り返し投げかけていた。
創作するという行為から離れることが、怖かった。
一度書くことをやめたら、書けなくなってしまいそうな気がして。
多分、昔の自分ならそんなことを思わなかっただろう。
けれど、今の自分は恐れている。
言葉が紡げなくなってしまうことを。
自分は果てしなく、旅を続けなければならないのだろう。
ここに独り立って。
自分の思考や、感情や、知識や、記憶や、そんなものたちの中を。
ひたすら旅して、知っていく。
そしてそれらを拾い、組み合わせ、言葉に変える。
たった独りきり、誰かが助けてくれるわけでもない道のり。
苦しさに泣き出すこともあるかもしれない。
しょっぱい涙を飲みながら、進まなければならないのかもしれない。
あまりに苦しくて血を吐く日もあるかもしれない。
信じたいものを疑わなければならない辛さに、あえぐかもしれない。
それでも、この旅をやめられない。
旅の途中で見た金色の太陽や、銀色の星に、赤や黄や白の可憐な花……他にもたくさん存在する、たくさんの美しいものを、忘れられないから。
これらを失ってしまうことが、たまらなく嫌だから。
旅をやめたら、自分の中にある「もの」を見つけ出すことができなくなるから。
だからきっと、やめないのだ。
自分を旅して言葉を紡ぐことを。




