2020/08/11『未来』『強欲』『暮らし』
そりゃあね、お金はあればあるだけいいとは思う。
でも、別に強欲な人間になりたいわけじゃないし、私はつつましく幸せな暮らしを営めればいいだけ。
だから私は、海のそばにある小さなアパートで一人、暮らしてるの。
潮のせいで物干しざおがすぐに駄目になったり、車が汚れやすいのはまあ、ちょっと困るけれどね。でも、すごくいいところよ。
夏の休日にはそうめんをゆでて、大葉とか海苔とか、梅干しやみょうがなんかの薬味を用意して、濃いめのめんつゆと一緒にいただく。幸せが一つ、ここにある。
ベランダで潮の香りをかぎ、風に吹かれ、波の音を聞きながら日差しを浴びるのも悪くない。幸せが、ここにも一つ。
エアコンの良く効いた部屋でパソコンに向かい合って小説を書くのもいい。また一つ、幸せを見つける。
夜に熱い珈琲を入れて、その香りを楽しみながら本を読むのだって楽しいだろう。ここにも幸せが一つ。
眠れない夜に部屋の電気を落とし、暗闇の中でイヤホンを使い、音楽を聞くのも好きだ。また幸せを、一つ見つける。
ブランケットをかぶってまどろみながら、遠くない未来に思いをはせるのもいい。幸せを一つ見つけて、眠りにつく。
ね? 悪くはないでしょう?
日常の中に、たくさん幸せって隠れているのだから。
それを探しながら、暮らしていくのよ。




