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2020/08/05『受難』『本』『都市』

「……ない」

 私は本屋で、ひとり、呟く。

「あの無料配布雑誌……欲しいのに……」

 好きな作家さんが、とある出版社の無料配布雑誌で連載を始めたと知り、わざわざ五件も本屋を梯子したのに、どこにも置いていない。

「はぁーっ……やっぱりTwitterにも『大型書店に置いてあります』って書いてあったし、ショッピングモールのテナントとか、都市部じゃない小さな書店には置いてないんだろうなぁ。有料購読しちゃおうかなぁ、それとも連載が終わって単行本になるのを待つかなぁ……」

 ぶつぶつと愚痴をこぼしながら、そっと本屋をあとにする。

「……都市部にはこの騒ぎじゃ行けないし、単行本になるまで待った方がいいだろうなぁ」

 今日何度目か分からない独り言を口にして、家路に着くことにした。

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