表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
259/430

2020/07/16『漫画』『氷河』『夜』

 しんと静まり返った、夜のこと。

 心の中にぽっかりと穴が開いたような気分だった。

 いや、違う。

 それはきっと、常に存在しているものだ。

 けれど、普段はどうでもいいようなことでふさがれていたり、興味深いと思えることで目をそらすことができている。

 ただ、それだけ。

 ふとした拍子に、かさぶたがはがれるかのように「どうでもいいこと」が消え去って、あるいは穴を直視せざるを得ないようなことが起こって、その存在に気づかされるのだ。

 この穴は、どうやったって埋めることができない。

 漫画を読んでも、登場人物たちは勝手に穴で遊んでいなくなるだけ。ストーリーは無意味な文字列に変わって、石礫になり、からころとむなしい音を立てるだけ。

 音楽を聞いても、空腹を無理やり雑草で満たすような気分の悪さを味わったり、音がうつろに響いてより孤独感が増したりするだけ。

 何を食べても味なんて感じやしないし、眠ろうとしたところで穴に潜むさみしさがそれを許さない。

 いっそのこと、氷河の中で氷漬けになったほうが楽かもしれない、なんて現実味のない空想をしてしまうぐらいには、この穴を持て余している。

 もう一度、かさぶた代わりの「どうでもいいこと」ができるまで。

 穴から目をそらせるぐらい興味深いことが現れるまで。

 このがらんどうの穴と、向き合い続けるしかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ