表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
239/430

2020/06/26『しょっぱい』『悪魔』『天災』

 しょっぱいものが、口に流れ込んできた。

 いつの間にか、泣いていた。

 悔しくて仕方がなかった。

 自分は悪いことをしていないのに。

 なのに、不祥事を起こした人物とされたり。

 他人の失敗をなすりつけられたり。

 色々と、不運ばかりが襲ってきたから。

 世の中を呪ってしまいたい、と思ってしまった。

「お前さんの願いを叶えてあげようか?」

 まるで自分の心を読んだかのような、声。

 周りには、人はいないはずなのに……。

「誰だ?」

「後ろを見てみればいいさ」

 振り返ってみるとそこにいたのは、黒づくめの男。

「気付いたみたいだな。俺は悪魔さ」

「あ、悪魔?」

 信じられない。

 けれど、心を読んだことを考えると……。

「疑っても無駄だぜ?」

 ……やっぱり。

「なあお前、俺と取引しないか?」

 にやり、と悪魔は笑う。

「お前の命と引き換えに、願いを叶えてやろう」

 どうだ? と首を傾げてみせた悪魔。

 ひとつ頷いて、願いを口にした。

「この世を、滅ぼしてほしい」と。


 悪魔は取引相手の人間から命を奪う。

 そして、人間の願いを叶えてやった。

 地震、津波、雪崩、土砂崩れ、ひょう、あられ……ありとあらゆる天災が世を襲い、そして、滅ぼした。

 しかし、何もない更地に立った悪魔は、その時、気がついてしまった。

 すでに一つも命のないこの世界では、人を惑わしたり、命を喰らうことはできないことに。

「……こんな世界では、生きがいもないな」

 悪魔はぼそっと呟くと、霧のように姿を消した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ