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2020/06/23『ロボット』『紫』『学校』

「学校に行って勉強していなくたって立派な人はいるし、逆に大学に行ったら必ず素晴らしい人になれるってわけでもない。多分、それはその人の意識次第よ」

 少女はそう言いながら、ぱくりと葡萄を皮ごと食べた。

「あ、それ、皮は食べられませんよ」

 青年が忠告すると、少女は紫色の物体を吐き出して「そういうのはもっと早く言ってよね」と不満げに呟いた。

(そら)は食べないの?」

「僕はおなかがすいてませんから」

 宙、と呼ばれた青年はにこやかに笑う。本当はおなかがすいていないのではなく、ロボットだから食べる必要がないだけなのだが、少女には自分の正体を話していないため、そうごまかすしかなかったのだ。

「話を戻しましょうか……。確かに、百音(もね)ちゃんのいうとおりだと思います。でも、必要最低限の知識は、生きていく上で必要ですよ。だから学校に行けないとしても、少しは勉強、しませんか? 大丈夫ですよ、僕が分かりやすく説明しますから」

 彼の言葉に、少女――百音は分かりやすいため息をついた。

「まあ、そうね……外には出られないけれど、中学二年生だし、実際には勉強に励んでいなきゃいけないものね。分かった、勉強する。宙の言うことに間違いはないもの」

「そう言ってもらえると嬉しいですね」

 宙は嬉しそうに微笑んだが、すぐに表情を曇らせる。

「……百音ちゃん、ごめんなさい。なんとかして百音ちゃんが外に出られるといいんですけど。でも、いい方法が、なかなか思いつかなくって。家にこもりっぱなしじゃあ、辛くないですか?」

「そんなことないわ!」

 百音の返事は早く、力強かった。

「宙のおかげで私、大っ嫌いなパパやママから離れられたのよ。宙のしたことを周りがなんて言ったとしても、それこそ……誘拐だって言ったとしても、私は間違いなく、今のほうが幸せよ。部屋から出られなくても、私は自由だもの。それに……いつだって宙が、一緒にいてくれるから」

 最後の一言に、宙は虚を突かれたような顔をした。

 そして、幸せそうに笑った。

「ありがとうございます、百音ちゃん」

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