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2020/05/22『王国』『少年』『黒』

 少年は夢を見た。

 大きな城の中、塔に閉じ込められる姫君の夢を。

 地面につきそうなほど長い黒髪を揺らしながら、彼女は塔の外を見ていた。


「……助けて」


 声にならない声だった。

 けれど、お姫様の口は間違いなくそう動いた。

 彼女を助けなければ。

 そう思った時、少年は夢から覚めた。


「……夢か」


 けれど、夢にしてはリアルだったな、と思った。

 どこかの異世界にある王国の、お姫様が塔に閉じ込められているような、そんな気がした。

 でも、ありえないと首を振った。

 異世界なんて、あるわけがないのだ。


「……助けて」


 だから、今聞こえた姫君の声も、きっと幻だ。

日付を変えてしまい、すみません……。

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