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2020/05/17『時間』『人肌』『絶望』
あの日、確かにあの温もりに救われたのだ。
久々に触れた人肌に、差し伸べられたその手に。
だからしがみつかずにはいられなかった。
出会いは別れと同義だという現実を忘れて。
あなたとの出会いで、わたしはどれだけ救われたことだろう。
二人で過ごした時間はそっと、わたしが負っていた心の傷を癒してくれた。
そして心を満たしてくれた。
愛と優しさと、温かさで。
けれど、あなたはいなくなった。
何も言わずに、いつの間にか。
この別れで、再び深い傷を負った。
傷から、どくどくと流れ出していく。
愛と優しさと、温かさが。
残るのはそう、絶望だけ。




