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2020/05/03『薬』『氷河』『教皇』

 ――教皇が、重い病にかかった。


 そんな噂を聞いた街中の人々は、騒めいた。

「あんなに優しいお方が」

「治る可能性が極めて低い病らしいよ」

「素晴らしいお方だったのに、どうして……」


 教皇は、高い熱を出して寝込んでいた。

 氷河の氷を取り寄せて頭を冷やしたり、栄養のあるものを用意したりしたが、一向に容体は良くならない。

「お医者様、教皇様の病気は治らないんですか?」

 教皇に拾われた少年ウルーフが、診察しにきた医者に問うた。

「……治る保証はできないが、この病に効くとされる薬草がある。それを煎じて飲ませれば、回復する可能性が上がるだろう」

「本当ですか!?」

 目を輝かせるウルーフ。

「ただし」

 医者は、真剣な表情で少年を見た。

「その薬草は、ここから遠く離れた国にしか生えていない。そこに行くためには、過酷な旅をする必要がある。その道中で死ぬ人はたくさんいるぞ。それでも、君は旅に出るかい?」

 ウルーフは唇を噛み締めた。

 目を閉じて、少し考える。

 医者がその場を立ち去ろうとしたその時、少年は真っ直ぐに彼を見つめ、答えた。

「……行きます。教皇様のためなら何だってします。お願いです、その薬草が生えている場所を教えてください」

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