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2020/04/23『強欲』『窓』『本』

 さて、三題噺を書こう。

 そう決めた私は、三つのお題を出してくれる診断メーカーのページにアクセスする。『診断したい名前を入れてください』の文の下にある四角い枠にペンネームを打ち込み、その右横にある青い『診断する』ボタンを押した。

 今日のテーマは……強欲と、窓と、本か。

 うーん……どうしようかな。とりあえず、皿を洗いながら考えよう。

 そう決めた私は、キッチンの流しに向かい、そこにたまった皿と向かい合う。スポンジを手に取り、洗剤を少しつけ、くしゅくしゅと泡だててから、洗い始めた。

 今日の晩ご飯を食べるときに使った茶碗と、お碗。サラダを盛り付けた白いボウルに、ぶり大根のつゆが残る花柄の皿。ビール用のタンブラー、日本酒用の青いグラス。ひたすらそこにあるものを洗い続けながら、今日投稿する三題噺の構想を練る。

 えっと、テーマが……あれっ、強欲と、本と、あともう一個……なんだっけ? まあ、いいか。とりあえずこの二つで考えよう。そうだなぁ……強欲な男がお金を集めていたが、ある日面白い本に出会って読書の楽しさに気づき、貯めていたお金を本に費やす……なんてどうだろう?

 そんなことを考えながら、ふと、水につけておいた炊飯器の釜を見た、その時。

「――!」

 釜の縁を歩く、ゲジゲジを発見した。

 どうしようか。このまま放置するわけにはいかない。

 ……仕方ない。

 覚悟を決めた私は、近くにあったしゃもじで、見た目の悪いその虫の命を奪い去った。その亡骸はキッチンペーパーで包み、念のためもう一度潰してから、生ゴミを入れるビニール袋に入れ、しっかりと口を縛った。袋はそのまま、ゴミ箱に直行。ぽいっと捨ててから、ホッと一息ついて皿洗いに戻った。

 ……どこから入ってきたんだろう、ゲジゲジ。

 皿を流しながら、近くの窓を見てみるが、虫が入れるような隙間はない。窓からではないのだろう。

「虫が出る季節になったのかぁ……。まだ明日葉の天ぷらを食べてないから全然四月の気分じゃないんだけど、やっぱり、あったかくなってきたんだな。そういや、お風呂場にはアリが出たっけ……しかも二日連続で、一日に二匹。だから、計四匹か」

 まぁ、アリは潰すのも面倒だから、排水溝に流してやったけど。

 そんなことを考えながら、すべての皿を洗い終えたとき、ふと、大事なことを思い出した。

「そうだ、三題噺……三つ目のキーワード、なんだったか確認しなくちゃ!」

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