2020/04/18『強固』『傲慢』『雪』
雪が、静かに降っていた。
家出をしようと決めたのは、いつだっただろうか。
分からない。何年も前のことのようにも思えるし、もしかしたら一時間前くらいかもしれない。
分からない。けれど、傲慢な両親のことが昔から大嫌いだったことは確かだ。
もしかしたら、ゆっくり、ゆっくり、時間をかけ、いつの間にか家出をする決意を強固なものにしていたのかもしれない。
そして、そのためのチャンスが今訪れた。ただそれだけかもしれない。
今日は、二十歳の誕生日。
二十歳になれば、保護者の了承がなくたって何でもできる。だから、家を出ると決めた。
大学は、今学期で辞めることにした。学費は一人では賄えないから。奨学金を借りてしまっては将来自分が大変になるだけだから。それに、そもそも惰性的に入っただけだ、興味があることを学んでいるわけでもない。迷いも後悔もなかった。
最低限必要なものは、全て手元にある。
両親が出かけている今のうちに。
そっと家を出て、鍵を閉める。
雪が静かに降る日、私はひとりぼっちになった。
身体は酷く冷えたけど、心はぽかぽかと温かく、はずんでいた。




