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2020/04/15『しょっぱい』『メモ』『川』
何か、物語を書こう。そう思って、常備しているメモ帳を取り出した。
そこには、日ごろ周りを観察していて面白いと思ったもの、何か興味を引いたもの、発見だと思ったこと、夢で見た光景、ふと降ってきた言葉やフレーズなどを記している。まあ、要するに、ネタ帳だ。
ざっと目を通し、何か物語のもとになりそうなものはないかと探してみる。
……
『大晦日の神社 紫色の幕 開いている扉 こんな風になるなんて知らなかった』
『星の祭典 星が歌い踊る異世界 死とつながる場所』
……
『電車の中 置き去りのミルクティー 客のように座っている』
……
『狐の祝福 天気雨 狐の嫁入り』
『家の裏の川 水浴びする少年少女 どこから降りたんだろう』
……
『ハイジャックされる高校 犯人は小学校時代の友達』
『夢の世界を 夢を諦めようとしていた少年』
……
『海がしょっぱいわけ 神様の涙は大粒だった』
……
しばらく紙束を眺めていたが、ふと、ある一文に目を止めた。
――よし、これにしよう。
『冷え性なサメの話』というメモ書きに、鉛筆で星のマークを付けた。




