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2020/04/14『紫』『時間』『学校』
今日は、長袖の服を着て行こう。
腕についた痕を、隠すために。
昨日、弟と取っ組み合いをした。
その時、力強く噛まれた痕は、時間が経つにつれ、赤だったのが紫に変わり、あざになった。
きっかけは、結構くだらないこと。
私のお菓子を弟が欲しがったのだ。
「それちょーだい」
けれど自分の小遣いで買ったものだったから、あげなかった。
「欲しいなら自分で買いなさいよ」
すると、弟は力ずくでお菓子を奪おうとしたので、取られまいと応戦した。ただ、それだけ。
こういう時、自分の高校が私服校であることを嬉しく思う。
季節感の外れた服を着ていても、咎められることはないのだから。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
服の下に紫色を隠して、私は学校に向かう。




