164/430
2020/04/12『本』『暮らし』『少女』
本は、異世界への扉だ。
図書館で借りた本を開き、ページをめくれば、心はいつだって物語の中へと吸い込まれていく。
『ねえねえ、遊ぼう!』
『いいよ、何する?』
『おじさん、牛肉を三百グラム頂戴?』
『お、おつかいか! 偉いなぁ、少しおまけしよう』
『奥さん、今日も綺麗ですねぇ』
『あら、ありがとう。この人参いくら?』
『新鮮な魚はうちが一番!』
目の前にある文字列の奥に、景色が見える。聞こえない音が響きだす。物語の中で暮らす人々の生活を垣間見るような、そんな不思議な時間。
人々の暮らしを眺めていると、ふと、目の前に少女が現れた。
彼女が、この物語の主人公。楽しげにワンピースを揺らし、踊り、歌いながら目の前の道を駆けていく。
そのあとを追いかけて、少女の暮らしを眺め続ける。そして、彼女と一緒に物語を楽しむのだ。




