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2020/04/10『勇者』『温かい』『嫉妬』
――僕が作家になりたいと願ったのは、九年前のこと。
それ以来、ずっと執筆活動を続けてきた。
心温まる小説を。誰かの心に届く物語を。
ずっとそう願って、書いてきた。
そのうち、読者を求めて小説投稿サイトを使い始めた。
宣伝のための、Twitterも始めた。
けれど、夢が叶わないことは、薄々勘付いていた。
例えば、試しに応募してみた小説賞。
一度たりとも、受賞したことがない。
一次選考にすら、残らない。
例えば、仲良くなった作者さんの小説。
物語に心動かされ、自分にはそんな話が書けないと気付いて、八つ当たりのように嫉妬していた。
理想は、現実にはならない。
どこかで、気付いていた。
けれど、僕は諦めきれないまま、ここにいる。
未練を残して辞めるくらいなら、やれるところまでやってみよう。足掻いてみよう。
理想を現実に変えようと挑む、勇者になってみようじゃないか。




