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2020/03/09『辛い』『受難』『傲慢』
――はあ。
本日何度目かも分からないため息をつく。
もう、自分の不運さを呪ってやりたかった。
まず、今日が低気圧であったこと。
窓の外は雨模様だ。
次に、自分が気圧の影響をもろに受ける人間だったこと。
そのせいで頭は痛いし、いらいらするし、仕事が手につかない。
そして、今日の仕事が傲慢な奴の相手をすることであること。
いや、取引先の方を「奴」呼ばわりしてはいけないのは分かるが、いつも見下されてばかりでしんどいのだ。
――辛いなあ、これは。
思わずもう一度ため息をついたところで、電話が鳴る。画面に表示されているのは、妻の名前。
「もしもし?」
「あなた、大変よ!」
――頭が、真っ白になる。
雨でスリップした車が、道を渡っていた息子に直撃したという。
――ああ、なんて災難続きな一日なんだ。




