2020/03/06『騎士』『ロマン』『ベッド』
ベッドの中で、空想を膨らませる。それが、最近の習慣。
今日はどんな世界を創り上げようか。
――そうだ、こんな物語はどうだろう。
それは、森に住んでいる一人の少年の物語。
少年は、木々と語らうことができた。
「今日はなんだか騒がしいね、どうしたの?」
「あれ、元気ないね……もしかして、病気?」
「ねえねえ、今日はこんなことがあったんだよ!」
人間の友達はいなかったが、森が友達だったからそんなことは気にしていなかった。
そんなある日、少年は仲のいい木からこんな話を聞いた。
『お役人さんが来ているって、森の入り口にいる木たちが言っていたよ』
どうしたんだろう、こんなところにお役人さんなんて、と思っていると、近くの木々がざわめきだした。
『お役人さんだ』『立派な服だなあ』『どうしてここに来たんだろう?』
人影が近づいてくる。
「――木の声を聞ける少年というのは、君のことかい」
「……そうですけど」
姿を現した役人の言葉にそう返すと、少年は突然頭を下げられた。
「――我々のために、力を貸してくださいませんか」
この国は今、隣国と戦争をしていた。それに勝つため、木から敵についての情報を聞いてほしい、そしてその情報を教えてほしいと、少年はそう頼まれたのだ。
木の言葉を聞ける少年は、最初は断ろうとしたが、礼金はたくさん出すよ、と言われて何も言えなくなった。というのも、彼の家は貧しく、生活していくのがやっとだったのだ。
仕方なく役人について行った少年は、この国の軍に入った。そこで出会ったのは、風と会話するものや炎を呼ぶもの、水を操るものなどの、異能を持つ人々だった。
彼らと力を合わせて隣国との戦争に挑む中で、なぜか彼はだんだん木の言葉を聞けなくなっていく。役立たず、と言われた彼は、どうかクビにはしないでほしいと頼みこみ、なんとか救護班に回してもらえることになった。そこで少年は、癒しの歌を歌える少女と出会い、恋に落ちる……。
――あれ、おかしいな。最初はもっとロマンのある話にしようと思ったんだけど……少年が活躍して、やがて騎士になるとか、そんな話にするつもりだったのに。……ま、いっか。
さて、寝よう。明日もいい日になりますように。
2020/03/07 0:42
「騎士」の要素が抜けていたので修正しました。
本当にすみませんでした。




