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2020/02/22『リアル』『苦い』『ガラス』
――今は夢? それとも現実?
目を開けた私は、今自分が眠っているのかどうかが分かっていなかった。
錠剤をつまんで、ガリッとかみ砕いた。
――苦い。夢じゃない。舌にまとわりつく欠片たちを、そっとティッシュの上に吐き出す。
時計を見た。
「……また、こんな時間に起きちゃった」
夜の二時。窓ガラスの向こうにある空には、冷え冷えとした月がのぼり、こちらに凍りつきそうな視線を送ってきている。
星はこちらのことなんて見て見ぬふりで、星座を作っている。
お前は起きている時間じゃないぞ。
ほら、早く寝ろ。
いい子は、夜に寝るものだろう?
そんなふうに言われている気がした。
――そうだ、ああ、そうだ。
いい子は、夜は眠らなきゃいけない。
私は、いい子じゃないといけない。
じゃないと、ママが心配するから。
お医者さんがくれた薬を飲む。
これを飲めば、眠れるからって笑ってた。その笑顔を信じて、布団に潜り込むの。
薬も、お医者さんも、私がいい子になるための、お手伝いをしてくれてるから。
そうだよね。そうだよね?




