喜劇に参加するつもりはありません
初投稿です。ご容赦ください!
短編なのになかなか書けない文才のなさ!ネタは浮かぶのですが!
周囲からの嘲笑、目の前の人達の見下した視線。
それらにため息をつきそうになるのを我慢する。
ーーーーど・う・し・て、こ・う・な・っ・た。
さかのぼること数十分前ーー
私はディレイア王国の王室主宰のパーティーにルースリア王国代表として参加していた。今宵のパーティーは諸国の代表者を招いた盛大なもの。そして渦巻く思惑うんぬん。
さて、まずは私の自己紹介をしようか。私は、ルースリア王国第6王女であるが、武の方面に才があったようで、王女の身でありながら軍部第8師団の師団長を務めている。我が王国が寛容で何よりです。
まぁ、王女ながらも王位から離れており、25歳にもかかわらず未婚であり、王女の身で軍に身を置いている私は、我が国内事情をよく理解していない国から見下され傾向にある。
なので、参加当初もコソコソ何か言ってる連中はいた。いたけれども!
私は華やかな会場の片隅で人間模様を観察していた。
情報を集めるのは私の信念のために必要なこと。正しく情報を扱っている者は優位だと、私は思っている。参加者の大半は第6王女という微妙な立ち位置の私に進んで近づいてこないし。まぁ楽でいいのだけれど。
こう思っていると少し騒がしくなってきた。あれ?と思った瞬間、何かがぶつかった。
「痛い!!ぶつかってくるなんて酷いわ!」
最初の感想。なんだこいつ?である。君からぶつかってきたよね?前見ないなんて危険じゃない?というか煩い。
「誰かと思えばルースリアのお荷物王女か」
口を開いたのはこの国のユーリス王太子か。失礼にも程があるよね?まぁ向こうは次期国王、こっちは第六王女、自分が優位だと思っているということか。
ぶつかった少女を見ると勝ち誇ったような顔をしている。意味がわからないな。
そして彼らの周りの連中も口々に嘲笑混じりに話し出す。
曰く、お情けで、弱小師団の団長になっているだとか
曰く、行き遅れだとか
はぁあー
これが、次期王とその王妃、そして側近たちか。
一言で言うと【愉快】である。国王となるべき人が私に関する情報を掴んでいない、というのもあるが。それ以上に周りが見えてなさすぎる!周囲にいる者の大半は便乗して私を嘲笑しているが、中には『あぁ、またやっている』といった呆れている者もいる。
次期王妃は確か、違う令嬢だったのに、真実の愛とやらに目覚めたユーリス王太子がシェリー男爵令嬢を王妃にすると宣言したのだったな。というか、側近たちもシェリー男爵令嬢に惚れているようなのですが、これ大丈夫?というかシェリー男爵令嬢も当たり前のように受け止めているし。本当大丈夫?
彼らのような人達を眺めるのは楽しいけれど。関わりたくないな、うん。でも、今立ち去ったら【逃げた】と認識されるわけだ。それはなんか面白くない。
はて、どうしようか?
「セレナ、そこで何をしている?」
と、そこで聞き覚えのある声がしたので、そちらを見ると、知った顔が二つ。
「カイン・ザラス皇帝陛下およびテルディオ・トリス殿におかれましてはご機嫌うーー」
「他人行儀にしなくてもいい。普段通り接しろ」
「あ、そう?カインもディオも久しぶり!元気してたー?」
「一気にくだけたね」
周りが驚いているのが分かる。カインは軍事国家として大陸でも一番と言われるザラス帝国の若き皇帝である。対するテルディオも、大国ネストフィアの軍部TOP3の中の一人である。下に見ていた奴が、まさかの大物と親しげにしている。これは驚くであろう。
因みにどちらも戦場で仲良くなった。そう、どちらも最初から仲良しこよしだったわけではない。バリバリの敵対国!ってほどではないけれど、何かあったら戦をしていた。でも、ほら、ここは拳で語り合う的な感じで。お互い認め合い、今の友好状態なのである。長くなるので今は話さないでおこう。
「というわけでセレナ王女と積もる話もあるので」
おぉ、上手く切り抜けーーー
「おい!逃げるのか!?」
切り抜けられないですよねー。えーー、もう友人と合流しました、ちゃんちゃん!でいいじゃん。面倒臭い。本当面倒臭いっ!!
まぁでも
「逃げる?何故逃げる必要がある?親しい者同士積もる話もある、というだけだ。そのような難癖をつけられては腹に据えかねる。それともなんだ?貴殿らは私に喧嘩を売っているのか?」
はい、出たー。カインの必殺奥義【凍てつき】!
…………テンションおかしかったね。まぁ見る人を凍らせるような冷たい視線と雰囲気を纏っているわけだ。
これには、流石に連中もたじろいだようだ。
これを機に退散、退散。復活したらしい王太子と男爵令嬢と愉快な仲間たちがまた騒ぎ出すが知ったことではない。
というかこの騒ぎを知った私の部下たちが暴走しないかが心配なのだが。
バルコニーに出ると夜風に髪が揺さぶられる。
「貴様を見下している連中はルースリアの内情を全く理解してないらしいな」
カインが不敵な笑みを浮かべる。
「別に秘密事項ではないから少しでもルースリアを探ろうとするならわかることなんだけどねー。逆に言えばそんなこともわからない国は情報収集を疎かにしているっていうことで、ルースリアとしてはあまり付き合いをしたくない」
だって、情報は武器だよ?足元すくわれないために重要だと思うのです。なので、そこらへん不合格の国と親密になると足引っ張られるよね、という。まぁ、表面上は差し支えない程度に関係保つかもしれないけれど。
「それで収穫はあったの?」
テルディオが面白そうに聞く。
「まぁ、『セレナ・ルースリア』のルースリア王国内での扱いを把握している人達が予想外に少なくってびっくりした。諸外国内で情報把握しているけど、一部の人間しか知らされていない、ということを祈るね。国自体が把握してないとなるとこの世界これでいいのか?ってなるよね」
「セレナ、何故誤解をとかなった?」
「えー。でも偽りは言ってないよ。第8師団の団員数が他師団に比べてすごく少ないのも、結婚するにあたって私に難儀な事情があるのも、事実だ」
「第8師団の各隊長の実力は他師団の師団長もしくは副団長と同レベル。しかも平隊員も他師団の各隊長と同レベルときた。だから戦力の平等化のため、第8師団の人数を少なくしているんだよね?」
「それに加え第3師団長と第5師団副団長、第7師団副団長は元は貴様の部下だった奴らだろう。さらに軍部総司令官であるディムデア・ティハードは貴様の信奉者だからな。貴様の意向を受けて指示を出しているようだしな」
「いやだなー、その言い方。人を黒幕みたいに言わないでよ。ディムはプライベートで私に相談して、私はその相談に応えているだけ」
「それこそ性質が悪い。その結果失敗しても、貴様が責を負うことはないからな。」
「滅茶苦茶な要求はしないよ。それに失策したことはないから大丈夫!」
多分他国が第8師団を侮るのは師団の動かし方に起因しているのだと思う。第8師団は隊ごとに他師団と行動することが多い。まぁ保険というか、サポート的存在なわけだ。勿論しっかり功績はあげてるよ!だけど他国からみた第8師団は他師団の手伝い程度の弱小というわけだ。まぁ戦う際には侮られていた方が楽だけど。
ちなみに今回私が代表となった理由は第8師団が護衛とするためというのもある。師団長が護衛対象としたほうが動かしやすいからね。第8師団は少数でも力はあるから、もし滞在中に動かざる得ない状態になったとき十分戦力になれる。他国に行くのにぞろぞろ連れていたら怪しまれるからね。
あと嘲笑される理由としては。
「25歳でまだ嫁いでないのも失笑される要因なのはわかってるんだけどねー」
「連中は貴様自身に問題があると考えているようだがな。実際は伴侶にというものが多いというのにな。俺としても知略に富み、戦闘に長け、意志のしっかりしている貴様を妃に迎えいれたいが、それは叶わないだろう」
「まぁね。国外に嫁ぐのは一番低いというかほぼゼロだよね」
そこなのである。私は少々、いや大いに武に長け過ぎ、軍部に影響力を持ちすぎてしまった。
まず、私が国外に嫁ぐと繋がりが強固になるという以上に、私という戦力が国外に流出する。
さらに私に忠実な軍部の人間も後を追う可能性もあるし、嫁ぎ先が我が国と敵対したら軍部が揺らぐ可能性もある。というわけで他国へ嫁ぐのは無いといえよう。
次に国内の貴族に嫁ぐという選択肢に関して。私の軍部内での地位は確固たるもの。
そこで有力貴族と婚姻を結ぶとその家が力を持ちすぎる。
逆にそうでないものと婚姻を結ぶと逆玉の輿状態になり相手の実家が力を持ってしまう。
そして、私の今後の地位に関して出ている話をすると、王族の籍を残すか、私を公爵にするか、というものが出ている。
王族として政務に携わることで便利な面もある。力を持つ私を王族のままにしていることで、私を担ぎあげる人が出るかもしれない。継承権を破棄していてもね。
だったら爵位を与えて分家することで一定の距離を保っては?という意見もあるが、影響力を持つ私が王家より力を持ってしまい、パワーバランスが崩れる危険性を孕んでいる。
まぁ、どちらも考え出したらきりがないから保留状態なわけで。今も私の身の振りに関して議会で話し合われている。・・・・そこまで重要事項なの?私の婚活事情は。・・・重要になってしまったのね。
剣を振るい、魔法を駆使し、戦術を用いて闘うことに自分の思うがままにひた走った結果、今の現状となったわけである。
「でも私の今後の身の振りで憶測飛び交うけど、実際我が王家の家族仲は良好だし、国の雰囲気も暖かく、上位貴族も腐敗してないから、本当に憶測止まりなんだけどね」
「ルースリア王国を他の国も見習うべきだと思うよ。な、カインもそう思うだろ?」
「まぁな。我が国も今は安定していても貴族連中は何を考えてることか」
「でも、カインのザラス帝国もテルディオのいるネストファ王国も国として機能しているし、他国と比べるまでもなく素晴らしいと思うのよ」
それに比べてディレイア王国は大丈夫なの?って感じだけどね。いや、まじで。
「ルースリア王家のまとまりは貴様の働きかけによるものだというのにな。連中は知らないらしい」
「いやだなー。私はただ、玉座にこだわらず能力を活かせるようにしましょー、って提案しただけ」
「それに伴い、いろいろと動いていたでしょ?第一王子は元から総てををまとめることに長けていたから王太子になったけど。他の5人の王子は外交のトップになるために修行中だったり、医学の道に進んだり、学者になったり、などなどと自分に合った道を選んでる
。王になるために骨肉の争いを繰り広げることなく、支え合いより良い国ねするために精進しているよね。君を含む7人の王女も自分にでき得ることでルースリア国に貢献しているし。セレナはそう思ってないかもしれないけれど、これはとても凄いことなんだよ」
「………なんか照れるんだけど。まぁ、ルースリア国自体元々寛容なお国柄だった、というのも一理あるんだよ、本当。そうじゃなかったら、私の考えは受け入れられなかった。私は恵まれている。」
本当に、私は恵まれている。王族として生まれたことも確かに恵まれていた。それでも他の国だったなら受け入れられなかったであろう私の存在。だから、私はルースリアの発展を心から願うし、そのためにできることは何でもする。
それが私の、私なりの生き方。
「ルースリアはディレイアと、深く、付き合わない。とんだ茶番を見せられたんだ」
「あれ?セレナ、喜劇の類は好きじゃなかった?」
「まぁ確かに群像劇は好きだよ。でもね、それ以上に、我が国としては巻き込まれたくないな。ろくに情報を集めていないだろうし。」
「三流の喜劇に付き合う道理はないだろう」
「そういうこと。それはそうと聞いてよ。この前、神にされそうだったんだけど。」
「あぁ、貴様の信奉者共が貴様を軍神とし宗教を興そうとしたらしいな」
「そうそう。上層部の中でも協力者が多かったらしくて。間一髪で止めさせた。」
「でも、セレナの第8師団の情報担当班は王国一でしょ?なんでわからなかったの?」
「その情報班も宗教興す派と手を組んでたんだよ!もーあいつらありえない」
「それほどルースリアの連中は貴様を崇拝しているということだ。戦時中上手く軍を動かせるのだからいいだろう?」
「………そういうもん?ん?………………カイン?なんで宗教騒動のことそんなに早く知ってるの?諜報部かなんか常にいるから?」
「あぁ、それか。諜報も確かに随時配備しているが、宗教派に協力したからな」
「あーそっかー。……………じゃないよ!はぁあ?何で協力とかしてるの!?」
「面白そうだったからな」
「皇帝の仕事に専念してください」
ちょっと本当何してくれてるの?この皇帝様は!
「やっぱりセレナは面白いね」
「ディオ、君他人事だと思ってまた」
「他人事には変わらないでしょ」
本当こいつらは………。
でも一緒にいて気は楽だ。それに、カインとディオがいたおかげで、今回のパーティーはなんとか過ごせそう。
でも
「あれから時間も経っている。ほとぼりも冷めたでしょ?さ、そろそろ室内に入ろう」
夜の静けさが心地いい。
さぁ、喧騒の中に再び戻ろう。
主人公も魔法使えます。魔具とかあります。今回は出てきませんでしたが。続き書けたらいいなぁ。ネタは浮かぶのですが文にできない!
ここまで読んでくださりありがとうございます!