ある雪の日、寒空の下で
冬の季節を知らせる白い雪がちらつき始めた。
降り始めは辺りの空気がキンと冷えていて、急に降り始めたものだから何の防寒もしておらず、思わず身震いをした。
「やっぱりもう冬なんだね。」
そういって彼女も寒いと笑った。
本当にね。と僕も上着のポケットに手を突っ込みながら笑った。
「ねぇ、手、繋ごうよ。」
少しはにかみながら差し出してきた彼女の右手を左手で握った。
「あったかいね。」
そう言ってまた笑う彼女。
空気は冷たくて、息も白いのに。
ポケットに突っこんだままの右手より、繋いだ手のほうがずっとずっと暖かかった。




