不安の行方
皆様の期待とはちょっと違う展開になっているかと思います
予めご了承ください
ある場所
ここは校内の今は使われていない教室
「おい、首尾はどうだ?」
「くへっへ完璧だぜ」
「クックック、こっちもだ。上玉ばかりだで大量だぜ」
そこではバカそうな面をして、腐ったトウモロコシ色に髪を染めた三人が下卑た笑いを浮かべていた。彼らは周りからいわゆる不良と呼ばれ、校内ではそこそこ有名なワルだった
誰もが避けて通り、かかわらないように目を合わせないような、そんな存在
彼らはタバコに火をつけながら今日の成果に顔を緩ませる
「むー・・むー・・・・!!」
彼らが笑っている理由は単純明快
足元に転がっている数人の少女たちである。彼女たちがなぜ、不真面目そうな、危なそうな、そんな奴らと一緒にいるのかと言えば手足を縄で縛られて動けないからである
口にはタオルも巻かれていた
その中にはユイとリサも交じっていた
幸薄いはずのユリコはいないが
彼女達は皆一様に財布やスマホなどを学校に忘れて取りに戻った。誰もいない薄暗い教室に、である。そこをなぜか都合よく教室にいた彼らに捕まってしまったのだ
なぜそんなに都合よく彼らがそこにいたのか、それは彼らが前々からこの学校の美少女達に目をつけ、集めて、まとめて犯すために計画を練っていたからである
財布やスマホがなかったのも彼らが盗んでいて、教室に取りに戻らせるためだったのだ
男の一人がカメラを構える
このカメラで少女たちが犯されているところを撮影し、脅して口封じでもしようとでもいうのだろうか、男たちの顔はこれから始まることを考え、早くも顔をにやにやといやらしくゆがめていた
とそこであることに一人の男が気づく
「アキとかいう新入生はどうした?あいつも顔がそこそこいいんだろ?」
「ふっ。あいつはダメだ、こないだ痴漢を捕まえてたし、一度偵察に言ったら全身丸焦げにされかかったからな」
「そうか、じゃあしょうがねぇか。こいつらだけで我慢するか。とは言っても4人もいるしな、十分俺たちでまわしても楽しめるだろ」
「じゃあやるか。お嬢さん方?動いたらその可愛い顔切り刻んじゃうから大人しくヤられてくれよ?くけけけけ」
「じゃあまずは一番かわいい一年のこいつから行くか」
「先輩からの入学祝にたくさん注いでやるから感謝しろよ?くっくっく」
男は縛られて身動きの取れないリサに近づいてくる
恐らくこのままだとこの男たちに凌辱され、おもちゃにされるのだろう。先ほどのカメラで写真を撮って脅し、肉便器にでもするのかもしれない
男がズボンのジッパーを下ろす音が死刑宣告のように部屋に響く
部屋の空気が一段下がったように感じるリサ
恐怖心彼女たちの前身を支配し、縛られているのと相まって思うように体が動かない
(兄さん助けて!・・・・・・・・・・・・・・・あの時みたいに)
リサの制服に男の手がかかる。男は荒い息を吐きながら気持ちの悪い笑いをしながらリサの顔を覗き見る。その男の顔にはもう躊躇などなく、これからの情事に対する歓喜と狂気しかなかった
まるでリサが恐怖することにすら劣情を催しているようすら見える
彼らの頭にはもう、少女たちを凌辱し、自分から求めるようになるまで調教することしかない
リサの顔はもう、完全に絶望に染まっていた
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ユウキside
ユウキは、また新しく届いた晃からのメールに従ってある教室にに向かっていた
妙に嫌な予感に急き立てられ、全速疾走で
校内の誰もいない冷え切った空気がユウキの頬を撫でる。人っ子一人いない、静かすぎるくらいの廊下がユウキの心をさらにかき乱し、暗く静かな校内をユウキの走る足音だけが響き、不安を掻き立てる
心臓がバクバクとなり、それの原因が恐怖なのか、焦りなのか、あるいは激しい運動によるものなのか分からなくなっていく
何なんだよこの嫌な予感は!!リサに何かあったら、俺はどうすれば!!
嫌な予感だけが先行し、吐きそうになる
手は震え、呼吸すらもうまく行えているのかもわからない
「リサ、リサ、リサ!!」
晃のメールにあった教室
つい最近ユウキの使った。ユウキがユリコにストーカーの相談を受けた時の場所。いまは使われていない、ほぼ物置になっているあの場所
そんなところに何があるかは分からないがきっとよくないものだ、そして自分にとってきっと残酷なものだとユウキは直感で察する
そこは生徒指導室だった
人目につかず、何か人目をはばかるようなことをするには最適な場所だ
ユウキは教室のドアを勢いよく開け放つ
「リサ!!」
そこには_____
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見なくちゃいけない。でも、見たくないそんな奇妙な考えが自分を支配していくのがわかる
ユウキは勢いよくドアを開けた
しかし気づくべきだったのだ。普通、何か後ろめたいことをやろうとするものが鍵を閉めないはずがないことに、扉が開かないようにしておく位のことはするだろうということに
しかしこの扉は抵抗なく開いた
ここにはすでに先客がいたのだ
晃だった
ユウキが来た時にはすでに、すべてが終わっていた
地面にはおびただしい量の血を流した汚い金髪の男たちが3人転がっていて、部屋の中央には少女たちも手足を縛られ、転がっていた
その中にはリサもいて、服が少しだけ乱れていた
明らかに男たちが何をしようとしたのかわかる状態だ
そして晃がそれを阻止したのも
晃は血まみれになって転がったヤンキーらしき男たちを気にも留めずに、こちらに背を向けてたっている。だがユウキが来たことには気づいているみたいだ
話しかけてきたのだ
「言ったよなユウキ」
「え、な にを?」
「失ってからでは遅いと言ったはずだよな!それに見妙なうわさを耳にすることも言ったはずだぞ!!てめぇは何を聞いてた!!」
珍しく声を荒げて晃が叫ぶ
彼からは背筋が凍るほどの殺気が放たれていて、普段の彼の馬鹿な行動からは想像もつかないほど恐ろしい形相をしている。それもユウキに対してだ
「だけど、それで今回のことを予期するのは_____」
そうなのだ。事前にちょっと情報を手に入れていたからと言って必ずしもそれを防げるわけじゃない。それが出来たら、名探偵なんて必要ないのだから
それを聞いて晃はユウキにつかみかかる
「舐めたこと言ってんじゃねぇ!!!!」
晃は止まらずに叫び続ける
「手ぇ抜いてんじゃねぇよ!!言い訳してんじゃねぇよ!!!!守りてぇものがあるなら、守るものがあるなら、本気出しやがれよ!!どんな手でも使えよ!!なりふり構ってんじゃねぇよ!!てめぇにはこんなにも、たくさん守るものがあんだろうが!!」
「くっ・・・・・!!」
ギリッ
晃の手で首が締まる。ユウキは足が地面から浮いている。しかし苦しいのはそのせいじゃない。晃が言っている事がもっともだとユウキ自身感じていたからだ。どうして彼がこんなに怒っているのかユウキもわかったからだ
ユウキには守るものがあった
リサやキキ、ユイたちだ
守る力もあった
確かにユウキは事故により右手の握力が弱いが、それだってアキに頼めば何か装備品を貸してもらえたはずなのだから
そして未然に防ぐこともできたはずだった
リサを極力一人にしないようにしたり、なんなら盗聴器や発信機をつけたり、校内に監視カメラをつけたりすれば、今回の晃のように防ぐことだってできたはずなのだ
アキに頼めばそれくらい安いものなのだから。現に晃がそうして今、リサの危機を救ったのだから
方法なんていくらでもあった
だが、言い訳なんていくらでもできる
それでもユウキは何も言い返すことができない
「なんでそんなにあめぇんだよ!てめぇは!!」
ユウキに晃の言葉と拳が突き刺さる
ユウキからは殴られ、あまりの悔しさに血と涙が飛び散るが、それでも晃は止まらない
「おめぇはもっと昔は苦しいながらも全力で!いろんなものを犠牲にしてでも、周りのやつら守ってきたんじゃねぇのかよ!!?なんでそんなふざけたことやってんだ!!ふぬけてんじゃねぇぞ!!」
「晃さん!!!」
とここでいつの間にか拘束から抜け出していたリサが大声で晃を止める
「いくら晃さんでもそれ以上言ったら許さないよ」
リサは有無を言わさぬ雰囲気を出す
その言葉に、晃は少し落ち着きを見せる
「・・・・・・・そう、だったな」
恐らく晃はリサからユウキの過去について聞いているのだろう
ユウキの知らない、リサだけがおぼえている記憶を
かつてユイとユウキの関係を見て晃は「部外者の俺からは何も言えねぇが、なんつうかままならねぇもんだな」と言っていた
「晃さん。今回は助けてくださってありがとうございました。私たちを助ける姿は、その、なかなか、かっこよかったですよ。もし私が兄さんに昔助けてもらっていなくて、出会ってもいなかったらきっと惚れていたと思います。その位です」
「・・・・・・・・・・・・・そうか。なら今回はこれで引くことにする」
と言って晃は教室から立ち去る
その後拘束されている人たちを開放して、学校の研究所にいたアキに助けてもらい、ヤンキー諸君を警察に突き出したりいろいろやった後
助けた子たちからお礼を言われたのが、晃の言ったことを思い出させなお堪えた
晃にもよろしく言ってほしいとか言われたが
ユイはユウキを嫌っていたが、それでも助けられたことには結構感謝しているらしくいつもより、態度が柔らかかった
最後にリサから
「兄さんは今のままでいいんだよ」
と言われたが、晃から言われた言葉はユウキの胸に深く刺さったままだった
どうして彼の言葉が自分の心に深く響くのかは、わからない
それでも
俺は甘かった。リサを、ユイを守れなかった。その事実がなによりも心を蝕む
俺は今日、大切なものを失うところだったんだ
いつもへらへらとしていて、軽口を叩きあっていたにもかかわらず、自分には何も守れなかった。何もできなかった。いつも自分よりばかやってる晃がみんなを守ったのだ
もし晃が助けてくれていなかったらと思うと寒気がする
俺は変わらなくちゃいけない
今度こそ絶対に周りの人たちをを守るために
もうこれ以上何も失わないために
そう心の中で誓いながら、ユウキは強く拳を握った
これが書きたかったんだが、案外微妙だったかも
次回からまた少し日常に戻ります