僕たちから貴方へ。 ミチルの話。
架へ
こんにちは。凛子です。
私は声出すのが上手じゃないから、いつもこうやって字を書いていました。
架はいつも字がきれいだってほめてくれました。とってもうれしかった!これからも私は、架のほめてくれた字を書いて、秋にぃと翔君とたくさん、いろんな話をします。
架の話だってたくさんします。気になったら架も遊びに来てください。
願うことなら、私の身長があと十センチ伸びる頃に、私の頭をなでに来てほしいです。
凛子より
架へ
まだ架が生きている気がしてしょうがないです。でもこの手紙を書きます。
俺は頭が悪いから、多分翔と同じ高校に行けないと思う。それこそ俺が事故してスーパーな脳みそになるか、逆に翔が事故って俺みたいな脳みそになるかしないと、到底無理。
だけど架は、俺のことも翔のことも高校なんてめんどくせえものに囚われずに見守れる。それが空からなのか、俺たちのすぐ近くからなのか、俺には分からないけど。
架は、俺の空っぽの脳みそを半分くらい一杯にしてくれた人です。多分架に会わなかったらもっと馬鹿で、親父のことなんて許せるはずもなかったし、凛子にも当たってたんじゃないかなと思う。俺にとっては恩人みたいなもんです。
頑丈なだけが取り柄だから、しばらく架のもとに行けそうにないです。それまでどうか、お幸せに。
秋より
架へ
僕ら三人は架がいなくなった今でも、変わらず馬鹿で辻褄の合わない話をしています。
これは、絶対に架のおかげです。ありがとう。
僕が後悔していることは、ミチルの話を架に出来なかったこと。それだけです。
架がいなくなって、僕は翔になりました。僕たちがそっちに行く時にまた、「かける」は返します。心配しないでね。
それともう一つ。宇宙の話。
僕が架にあげた本も、一緒に入れておいたから、向こうで読んでね。僕の大好きな本です。
翔より
僕は一人で新幹線に乗っていた。もともと一人で遠くに行くのは平気なタイプだから、新幹線の中で寝て、大阪についてから電車の中でも寝た。
いざ地元についても、久しぶりでよくわからない。とりあえず電話で確認した住所を探そう…
「…おった。」
「え?」
そこにいたのは、僕の知ってるミチルより幾分血色のよくなったミチルだった。
僕を見るなり小走りで近寄ってきて、微笑んだ。尻尾を振った犬みたいだ。
「絶対迷うと思って、出てきたんやで?元気にしとった?」
「元気してたよ。そっちは随分変わったね。」
ミチルは僕の近くまで寄ってきて、僕に顔を近づけた。
もう、化粧の香料の匂いはしなかった。
心臓が速くなる。あの頃とは違う。
ちゃんと唇が触れた。
「…好きや。」
「僕も。それに、話したいことが沢山ある。」
「うちもや。」
ミチルと僕は笑いあって、寄り添って歩きだした。ミチルには架の話をしていなかった。架にミチルの話が出来なかったから、僕は嬉々として僕らが昔入ったカフェに入った。
僕はもう、高校生だ。あの頃のガキじゃない。
この作品の話をちょっとだけしようと思います。
作中、みんなが腕時計を右手をつけるのは、私が右手につけているからです。左利きではないですが。その方が見やすいのです。
メイティンは私の好きな花です。お花屋さんで一目ぼれしてお庭に植えたものです。
ピンク色の可愛い花なのですが、この花を翔が頼んで植えたのはどうなんだ・・・?と思いましたが、まぁ可愛い花なんでゆるしましょう。
タイトルの「貴方の星」はもちろん翔と架が宇宙好きだからです。あとシンプルなのがよかったから。
なんだかんだ、好きなものを詰め込んだ作品です。読んでくれてありがとうございました。




