とある少女の秘恋
いつからだろう。
彼の事をつい眼で追うようになったのは。
いつからだろう。
彼の事を思うと夜も眠れなくなったのは。
いつからだろう。
彼の事を好きだと実感してしまったのは。
なぜだろう。
彼の事を好きになってしまったのは。
彼は不良なのに。
私はクラスの中でも目立たない方なのに。
彼の事を思うとこんなにも胸が苦しくなるのはなぜだろう。
彼が他の子と話しているところを見ると胸が苦しくなりだしたのはいつからだろう。
いまではもう覚えていない。
いや、それは嘘か。
いまでもハッキリと覚えている。
体育祭の時に貧血で辛そうにしていた私に気付き優しく笑いながら保健室まで連れて行ってくれた彼の姿を。
彼の笑顔を。
私はきっと忘れないだろう。
いや、忘れたくても忘れることはきっと出来ない。
なぜなら、私の心はもう彼の虜になってしまったから。
私の心が彼への気持ちを伝えんとばかりに激しく嘶くから。
彼の事を思うだけで心が激しく嘶いてしまうくらいに彼の事を好きになってしまったから。
でも、だからこそ私が彼に告白することはきっとないだろう。
まず第一に成功しないだろうし成功したとしても私と彼じゃ不釣り合いだ。
彼には私なんかよりもっと可愛い子がよく似合う。
学年のアイドルになれるような可愛い子がよく似合う。
そんな事を考えるとまた胸が苦しくなった。