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クリスタル・クロニクル  作者: 氷柱
20/48

17 大惨事

 結局、あれよあれよと言う間に場所を移って修練場。


 自分で望んだことだとは言え、何故かアズではなくヴェールを睨んでいるクラウスを見て、隠さずに大きく溜息をついた。……この1人と1頭のケンカ(?)に巻き込まれている被害者であるような気がしないでもない。




 2階の多目的フロアにあるこの場所には壁という壁は天井以外なく、ローマ神殿のように白く太い柱が何本も並んで開放感溢れるフロアになっている。計4つからなる修練場はどれも同じ内装をしていて、広さは大体高校の体育館と同じくらいか、それ以上。中央にある一本の渡り廊下を挟んで、2つずつ修練フロアが並ぶ構造になっている。


 側面側にも壁はなく、外の景色がそのまま一望できる。ちょうどアズの立っている位置から外を眺めると、先ほどウィルが教えてくれた監獄塔が見えた。今度はあそこにも行ってみたい。


『威勢がいいのは口だけ?急にだんまりになっちゃって、ホントはアズと戦うのが怖いんでしょ?怖気づいたんでしょ?逃げたっていいんだよ』


 ケタケタと意地悪く笑うヴェールを窘める気も起きずにげんなりした気持ちで傍観していると、またまたヴェールの挑発に乗るクラウス。


「小竜だと他の竜族にも相手にされないのか?戦う前に減らず口が多い奴は自分の置かれた立場とその場の状況を理解出来ていないいい証拠だ。体だけでなく脳も小さいということか」


 そして、やっぱり2人で火花を散らして睨み合う。


 ……「戦う」じゃなくてただの「組手」なんだけどな。それに組手するのはヴェールじゃなくてあたしなんだけどな。……うん、もういいけどね。


「おーい。いつまで睨み合ってるの?ホントに日が暮れちゃうって」


 渡り廊下の淵に座ってちゃっかりギャラリーと化しているウィルが声を張り上げて牽制する。その隣に柱に寄りかかったジーク、そしてジークの隣に立っているアリス。ヴェールは廊下側ではなく、外側に立って見ている。ウィードは体調が良くなったのか、仕事に戻ると言ってとぼとぼ歩いて飼育室に戻っていった。


「確かに時間の無駄だな。始めるか」


「よ、よろしくお願いします」


 外套を脱いで腕まくりをしたクラウスがアズを見据えた。


「クラウス!アズは組手初心者よ。手加減してちょうだい」


「初心者?」


 クラウスの眉がひそめられ、金色の双眸が小さく揺らいだ。


「ノワールのクズでも、あのゾイスを打ち負かしたセイレーンに手加減?……つまらないな」


「つまる、つまらないの問題じゃないんだけど」


 クラウスの瞳が、まるで狩人(ハンター)のようにアズを見ている事に身震いしてそういうと、クラウスは初めて仏頂面以外の表情をその中性的な顔に浮かべた。


「お前が本当に弱いのなら、あの時ゾイスに殺されていたはず。――少しは楽しませろ、セイレーン」


 それは、ほんの少しの変化だったが、確かに笑った。


 目を細め、楽しそうに笑ったのだった。


「それじゃ、始め!」


 ウィルの声が鋭く響いた瞬間、クラウスが動いた。


「――へっ……もう!?ちょっとまっ――」


 突然だったので慌てて待ったをかけるも、一気に距離を詰めてきたクラウスに驚いてその場から後方へ飛び退いた。


 アズの想像していた「組手」とは全く違う。これは――。


「反応の良さはまずまず――か」


 呟いたクラウスの声が聞こえたが、間髪入れずに長い脚が空を切って繰り出された。――普通女の子に向かって本気で蹴りを入れてくるかっ!?しかも初心者だって言ってんのに、信じられない!


「ひゃっ!」


 これも間一髪のところでなんとか避け、そのままたたらを踏みながら距離を取って息を整える。


――アズ、何やってんのさ!?さっさとその女顔に一発ぶちかましなよ!


 頭の中でヴェールの声。


 シンクロによるテレパシーだと理解して、アズは心の中で叫んだ。


――組手って……もっとはじめの方から教えてくれるんじゃないの!?こんな急に始まるなんて知らないよ!


――はあ!?


 そんな風に切り返されても困る。もっと、空手みたいなものを想像していたアズにとって、この世界の「組手」は想像を絶していた。戦い方や実戦の前組等をアドバイスしてもらいつつ実際に動いて飲み込むはずだったのに、これではどうすればいいのか分からない。


 そうこう考えている間にも再びクラウスの脚が飛んでくる。アズは体をエビのようにくの字に曲げて間一髪でこれを避けた。


――おっ……お腹狙ってきた!あたしどうすればいいの!?


――ゾイスをやったときみたいに思いっきり行けばいいんだよ、思いっきり!体動かすの得意なんでしょ!


「簡単に言ってくれるっ……!」


 声に出して吐き出し、振るわれたクラウスの腕を流して払う。



 別に空手や体術を習ってきたわけじゃない。けれど、電車で痴漢に合っていた女性を助けた時も、引ったくりに合った男の人を助けるときも、アズはなりふり構わず犯人を追いかけて引っ倒して捕まえたことは何度もある。

 やり返されたことも、何度かある。けれど、その度にアズは独学で身に着けた体術で何度も危機を脱してきた。……「独学の体術」というのが漫画やアニメの見よう見まねなんて口が裂けても言えなかったけれど、それをモノに出来て尚且つ実際にやってのけたのは自分自身だ。



 その身に着けた体術を今活かせないで、いつ活かす?



 アズは人を助けるために強くなった。



 放っておけなかった。



 痴漢にあっているのに見て見ぬ振りをするあんな大人になりたくなくて。



 誰かを助けられる大人になくたくて。



「えーいっ!大怪我しても知らないんだからね!」


『やったれアズゥーっ!』



 か弱い女の子でいるのが嫌だった。



 守られるだけの存在になりたくなかった。



「本気で来い!」


 正しい戦い方なんてない。アズはアズの思うように動いて相手を翻弄させ、意標を突く。



 クラウスを見据え、心の中が冷水を掛けられたようにすうっと冴えていく。



 相手をシャドウと思い込む。アズの戦うべき者と、頭に認識させる。


 足に力を入れて、思い切り床を蹴ってクラウスに向かって飛んだ。空中で右の拳をぎゅっと固め、後ろへ引く。そして、気合の声と共に、勢いよく突き出した。






**






 あ、と思った瞬間。突き出された拳はクラウスに難なく躱されてしまった。


 が、問題はそのあとだった。




 ――ドゴオオオオォォォォォンッ!




 クラウスに当たらなかったアズの拳は勢い余って床に激突。そしてあり得ない破壊力で床を木端微塵に粉砕してのけた。これにはその場にいた自分、ウィル、アリスが驚愕の表情で目を見開いた。


『くっそー、当たらなかったぁ!』


 場違いな程に悔しがって尾を床に叩き付けているセブンスドラゴンを見やり、自然とクラウスに視線が向かう。相当驚いているようで、普段表情を表すことが少ない奴の顔にも驚きの色がありありと浮かんでいる。


 強いとは思っていたが、まさかここまでやってしまうなんて。

 ベッドの上でリンゴを握り潰した所を目撃したとはいえ、正直ここまでの怪力(ここまでくると馬鹿力)持ちだとは知らなかった。あんな強烈なパンチをまともに受けてしまったら、いくらクラウスと言えど無事では済まない。……と、思う。


「いくらなんでも、これは……」


 アリスも口元を両手で押さえ、ふるふると首を振っている。大概の事が起こっても平常心を保って余裕の笑みすら浮かべるあのウィルでさえ、今は表情が消えている。


 アズの起こした噴煙が立ち込める修練場の中央に、彼女の影がゆらりと動く。


 ヴェールとテレパシーで何か会話をしていることはすぐにわかった。なぜなら、戸惑っていたアズの表情が段々と冴えたものに変わってきたからだった。何を話していたのかは分からないが、何か意思を固めたように見えた。


「い……」


 小さなアズの声。外から流れ込む風が巻き上がった噴煙を流し、場内に新鮮な空気を入れてくれる。


 晴れた視界の先に、大きくえぐれた床の中に右手を押さえてうずくまっているアズが目に入った。


「いったぁ~……」


 よろよろと立ち上がり、苦い顔をして震える右手を何度か振った。そして、顔をしかめたまま粉砕された床を見渡してさらに顔を歪める。


「やりすぎた……難しい」


『あの勢いのまま女顔にぶつけられてれば最高だったのに……って、アズ、手!手!』


「ちょっとやりすぎだわっ」


 見かねたアリスが駆け出し、ヴェールと共にアズの傍に駆け寄る。見ると、彼女の足元には点々と赤い滴が滴っている――血、だった。


「無理もないよ、素手であれだけやったんだから」


 ズボンについた埃も払わずに立ち上がり、ウィルは耳元にある無線機に手を当てた。


「ドクター?俺ですけど……や、急患ってほど重症でもないんですけど、すぐに見てほしい人がいます。……症状?コンクリートの床を素手で木端微塵に粉砕させて血まみれ……え?いや、冗談じゃなくて」


 ジークも駆け出し、ざっとアズの怪我を目視と臭いで確認した。……幸い、骨は全くの無傷。折れている様子もないし、本人は血を見て真っ青になっているだけで出血の量もそんなに酷くない。一体どんな体の構造をしているのやら、異世界の人族はとても頑丈に出来ているようだ。


「クラウス」


 ゆっくりとこちらに近づいてきたクラウスに気づくと、奴は至極真面目な顔をして、


「驚いた」


 とだけ言った。


 ……うん、まあ、驚くよな、誰だって。


「……って、そうじゃないだろ」


 肩を落として首を振ると、クラウスはそのままジークの前を通り過ぎ、アズの前に立った。


「……?」


 真っ青な顔色のまま不思議そうに顔を上げたアズを見下ろし、クラウスは言った。


「もっと力を制御できるようになったら、もう一度手合せ願う。……楽しみにしてる」


「……ど、どうも」


 かなりの間を開けてから、アズはとても驚いたような表情でそれだけ言った。……アズだけでなく、アズの肩を抱いていたアリスまでもが心底驚いた顔をしていた事から察するに、クラウスはたぶん「笑った」んだろう。あいつが笑うところなんて、まだ一度しか見ていない。ジークには背中しか見えていなかったので、とても残念だった。


 言うだけ言ってクラウスはそのまま踵を返してさっさと歩いていく。


「おい、クラウスッ……!」


 思わず追いかけようと足を踏み出したが、アズに止められてしまった。


「怪我したのは、力をきちんと制御できなかったあたしのせいだから。明日からちゃんと制御できるように頑張って練習することにしたんだ」


 そう言って、アズは疲れたように笑った。


「そしたら、もう一回クラウスに組手の相手してもらう。今度はちゃんと出来るようにする」


 無事な方の左手をぎゅっと握りしめ、硬い表情ながらも嬉しそうに笑っているアズが、なんだかとてもまぶしく見えた。







**







「――で?怪我したのがクラウスじゃなく仕掛けた張本人のアズだったと」


「……真に、申し訳ありません……です」


 退院したばかりの病室に再びとんぼ返り。腕を組んで目を瞑っているゼノの前で、ベッドの上で正座をしてアズは頭を垂れた。


「しかも修練場の1フロアの床をぶち抜いて、しばらく使用不可にしたと」


「…………はい」


「その振動で厨房の食器が何枚か割れたと」


「……………………は、い」


 ゼノに言われるたびに、頭が下がりに下がって膝を通り越してベッドのシーツに当たる。


 絶対に怒っている。あれだけ床を粉々にして、その振動のせいで二次被害も出てしまって。おまけに仕事で忙しいはずなのに、こうして病室にまで来てもらって……もう、まともにゼノの顔を見れない。


 ……見たらきっと、泣いてしまう。


 簡単に泣きたくない。泣けば許してもらえると思っているのかと思われたくない。


「……」


 せっかく綺麗に巻いてもらった包帯に、もう血が滲み始めていた。それは、力いっぱい拳を握りしめているせいかもしれない。とにかく長い沈黙に耐え続けた。


 すると、頭上でゼノの深い溜息が聞こえた。ぎゅっと閉じていた目をうっすらと開けて、目の前いっぱいに広がる白いシーツを見つめた。


「まあ、怪我がそれくらいで済んだから良かったとするか」


「…………え?」


 思いもよらない一言。ゆっくりと顔を上げようとした所で頭をわしっと両手で掴まれ、驚いて体が強張った。


「力の制御も出来ないのに無茶して怪我した挙句、ガーデン内の施設破損……っていうか破壊?これらに対しては相応の処罰を取らせてもらう。本来なら、な。でも今回の件は、まあ異例中の異例だし、他に例もないから処罰のしようがない。よって無罪放免とする」


「ゼノッ……それじゃ困ります!ちゃんと自分のやったことには責任持つから罰してください!」


「だーめ。これがアズに対する特例処罰だからな」


「え?」


「責任は自分にあるとたっぷり自覚させておいて、あえて処罰を与えない。結構堪えるだろ?十分に反省してこんなことは繰り返さないこと。わかったか?」


 頭を鷲掴みにされたままの姿勢で、アズはしばらくの間を置いて小さく頷いた。


 自分が壊したのに、何も悪くない職員の人たちに後片付けも舗装もやらせてしまい、壊した本人は何もしないで黙って見ているだけ。……正直辛い。怒鳴られて罰を与えられて手伝いをさらせてくれた方がよっぽどマシだった。


 俯いたまま下唇を噛みしめると、頭を掴んでいたゼノの手が緩んで優しく上を向かされる。


「早く任務に就きたかったんだってな。アリスから聞いたよ。……ごめんな、焦らせて」


 その言葉と優しいゼノの顔に圧され、ぐっと目の奥が一気に熱を持つ。顔を俯かせることができなかったので目を瞑ってせり上がってくる気持ちを抑えて何度も首を振った。


「俺はいつでもそうだ。いつも大事なことを見逃して、気づくのが遅すぎて……何度も傷つけてきた。失ってきた」


 大きな手が、包帯の巻かれたアズの右手をそっと包み込む。髪と同じ青みかかった黒い双眸に優しく見つめられ、アズは目を逸らせなくなる。


「もう後悔はしたくない。……出来ることなら焦らせたくはない。今回みたいなことが何度も起こったら俺の身も心も持たないからな。だから、今だけは焦らずに力の制御の事だけを考えて精進してほしい」


「……はい。本当にご迷惑をおかけして、すみませんでした」


 アズの意に反して、ずぴっと鼻が鳴った。そこから先は、いくら頑張ってももうどうにも止められなかった。


「あ~……女の子に泣かれるのが一番困るんだよな。よしよし、お父さんの胸で泣きなさい」


 頭を引き寄せられ、自分の胸にアズの顔を押し付ける。ぽんぽんと優しく頭を撫でられ、必死に我慢していた嗚咽でさえあっけなく口から漏れ出してしまった。


「……だんちょーが“お父さん”?……それってかなり無理あるっしょー」


「ばっ……ユリア!お前声でかいっ!」


「また女の子泣かせて……ホントゼノ団長って罪深いというか天然というか」


「女性を泣かせることだけが得意なのよ、あの人は」


『どうでもいいけど中入っていい?なんでこんなとこでソコソコしてんのさ。バレバレじゃん』


 何やら聞き覚えのある声が複数。少しだけ顔をずらして見やると、スライドドアがほんの少しだけ開けられており、その隙間から見える人物が押し合いへし合いしながら代わる代わるアズとゼノの様子を伺っていた。


 あれで隠れてみているつもりなのか、それとも茶化しているだけなのか。思わず笑ってしまった。


「……ホント、こんな扱いにくい生き物の集まってるとこの団長なんて向いてねえな、俺……」


 疲れたように、けれど顔はほんの少しだけ笑っていて。


 それが妙に様になっていて、とてもカッコよかった。


















『手、どう?』


 時刻は夜の10時を少し回ったところ。病室フロアは就寝の時刻で、アズの部屋の電気も消されていた。


 サイドテーブルに乗っている小さなスタンドに付けられているライトクリスタルの仄かな明かりだけが満たされている小さな病室の中に、ヴェールの気遣わしげな声が静かに響いた。


 床に寝そべってアズを見つめる青い双眸を見つめ、アズはまだ熱を持っている瞼をこすって笑って見せた。


「包帯取り替えてもらった時にはだいぶ良くなってたよ。驚いちゃった。あたしって怪力があるだけじゃなくて再生能力もすごいみたい。セピアノスのおかげかな?」


『それもあるかもね。夢の中でセピアノスに聞いてみたら?』


「うん、そうするよ。……ああ、なんだか今日は色々疲れたなあ……」


 寝たまま右腕を天井に向けてかざし、真っ白な包帯を見上げる。


 ちょっと力を入れただけでリンゴを潰せた。


 かなりの力を込めたら床を粉砕させてしまった。


 ……じゃあ、もっともっと力を込めたらどうなる?


「きっと、大陸真っ二つになっちゃうね」


『……テレパシーで聞こえてるからいいんだけどさ、周りから聞いてれば結構恐ろしい独り言になるよね、それ』


「ヴェールには聞こえてると思ったらあえて言ったの。周りに人が居たら絶対に言わないって」


『ふーん』


 大きな欠伸をして、ヴェールは犬のように体を丸めて眠りの体勢に入る。アズも寝返りを打ち、ヴェールの方に体を向けて囁いた。


「あたし、ちゃんと自分を制御できるように頑張るよ。この力を、人を傷つけることに使いたくないから。今のあたしは……考えたくないけど、きっと、怒りに任せて人を殺しちゃうと思うから」


『そうだね。アズはそんなつもりなくても、きっと相手は死ぬね』


「うん……。良かった、あの時クラウスが避けてくれて」


『俺的には別に当たっててもよかったけどね…………嘘だよ、そんなに怖い顔で睨まないで』


 ふっとヴェールを睨む力が抜け、一気に睡魔が押し寄せてくる。とろけるように微睡みつつある意識の中で、ヴェールが尋ねてきた。


『ねえ、アズ。……アズは、抱きしめられるの、嫌い?』


「……どしてそんなこと聞くの?」


『別に。……ゼノが抱きしめたら、アズ泣いたでしょ?そんなに嫌だった?』


「ううん、違う。……優しさがあったかくて、嬉しくて、それで泣いちゃっただけ。嫌とか嫌いじゃない……よ」


『うん……そっか。わかった。お休み、アズ』


「ん、お休み、ヴェール……」


 手を伸ばし、スタンドの明かりを消して一面が暗闇で染まると、アズの意識はすぐに深い眠りの中に堕ちて行った。





『俺にも、アズを嬉しくさせること、出来るよね』





 窓から差し込む月の光に照らされたヴェールが、ポツリと呟いた。





メインであるクラウスさんとではなく、サブであるゼノさんとヒロインであるアズさんをやたら絡ませたい今日この頃なのです。

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