渡りに船
「んで、体があるんだよぉ」
ため息まじりのハイリは、けだるさと不満の塊と化していた。
一面砂だらけの空間に一人生きて、とりのこされていたのだから、しかたのないことといえるだろう。
せっかくの自殺という努力をなかったことにされた怒りと絶望感は言い知れないものがある。
「転んで、あがいて、傷だらけ~な人生のいいとこを確かめるのには体が要るとおもうんだよね」
あの女の子の声がこんどは頭に響く。
生きているかぎりその声を聞くことはないと勝手な想像をしていたハイリにとって予想外な展開と言えるだろう。
あきれて声しかでないところである。
「ああ、だからこんなとこにいるのか。どうりで立ってるだけで精一杯なわけだ。
実践させてみるとは、なんともまじめな方だなあんたは。でもモルモットの扱いが悪いんじゃないか?。」
ハイリのいる場所は非常に風が強く、ふらつく一方だった。
「それで?転ばないの?はやく~」
「転ぶくらいなら寝転ぶことにする」
と言って砂の上に倒れこんでしまった。
ふて永眠をこころみようとするハイリに近づく男性の影。
男性がハイリを見下ろしたと同時にハイリが声をかける。
「やあ、助け舟かい?船賃はおいくらで?」
男性は微笑み優しく受け答える。
「そんなものは要りませんよ。それより、あなたはおいくらですか?」
予想外の返答に想像がふくらみ不安が広がる。
人身売買、奴隷、そんな言葉が頭を駆け巡り恐怖の念でいっぱいなる。
が、すぐにどうでもよくなる。この男性とともに居た方が今よりは良いと判断したのだ。
「あんたとセットでお安くしてあげるよ?」
「セットで安売りだなんてとんでもない。貴方ほどの人間は高値で売買されるべきでしょう」
「あったま固いな、さぶいぼ製造機さんよ。とにかく助けておくれよ」
「すみません、今お助けします。」
慌ててハイリのことを両腕で持ち上げる。あまりにも軽々とお姫様抱っこをするので不信に思うハイリ。
人間のそれではないように感じたのだ。力をいれるそぶりさえしなかったのだ
そして確信を持ち上げる言葉。
「それにしてもよく私が機械だとわかりましたね。」
驚きよりも納得のほうが大きかった。が、すぐに驚きのほうが大きくなる。
まるで人間にしか見えない、馬鹿力の持ち主を見つけたのだからあたりまえであろう。
「ありゃま あんたロボットなのか。どうりでお堅いわけだ。」
「どこか痛みますか?私の体はあまり硬くないと思いましたが」
確かに彼の体は人間と同じような質感をもっていた。
「内が固い。二つの意味で」
こうして、二人は機械の街プロメテウスへとむかった
今回あまり動きがありませんでしたね。
でも 冒険ものっぽくなってきたのではと
街の名前は今でも悩んでます。もしかしたら後で変えるかも
今回かたいの漢字間違ってたらすごい恥ずかしいね。そこ重要なのに。
間違ってたら教えてください。