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中盤戦

  

「二種目目、サイコキネシス。」

「いざ、神妙に勝負!」

とうとう始まった二回戦。

サイコキネシスは100%体力勝負のゲームだ。

つまり、俺が役に立つことはほとんどない。

むしろ足手まといになるだろう。

いないほうがいい存在へと成り下がった俺は、

戦場の端っこでおとなしく目立たないよう頑張っていた。


「3、2、1、GO!!」

お、どうやら始まったようだ。

みんなが一斉に広場全体へと広がっていく。

たった今から、ここはすさまじい戦いが繰り広げられる戦場となる。


このゲームの説明を少ししておこう。

サイコキネシスはポルデリートと同じ三大ゲームの中のひとつで

まず体力、次に判断力、そして精神力が重要になってくる過酷なゲームだ。

まず、戦場となる広場をきれいに半分ずつに分け、そのどちらかをチームの陣地にする。

もう1つは敵の陣地だ。

そして、自分達の陣地にドッジボールを1つ置く。

それから、全員が口に赤い布をくわえる。

これで準備は終わりだ。

両チームの準備が終わったら、カウントダウンでゲームはスタートする。

そうしたら、あとは敵の陣地のボールを奪いに行くだけだ。

しかし、敵陣に乗り込んだ際、くわえている赤い布を取られてはいけない。

その時点で自分の攻撃は終わってしまい、陣地に戻らなくてはならないのだ。

そして、同様に敵もボールを奪いにやってくるから

こちらは攻めてきたヤツのくわえる布を取ればいい。

そうして取った布は全て自分たちの物になり、

攻撃に失敗したら、代わりにその布を使ってもう一度チャレンジできるのだ。

ボールを奪って、布を取られることなく陣地に戻ってこられたらそのチームの勝利となる。

先ほどのポルデリートでは俺たちが勝利した。

ここで勝てば3試合目をする前に勝負はつく。


ただいまゲーム開始三十秒後。

両チームにらみ合いが続いている。

ゴールデンビートルズはいっこうに動くそぶりを見せないが、これは正解だ。

ここで出て行っても何も収穫はないだろう。

こっちが優勢なうちは慎重に行った方がいい。

そうなると気になるのは相手チームだ。

さて、どんな出方をするのやら。


試合開始一分後。

青空決死隊が動いた。

さきがけは、いばらすすき。

しかし、すぐにタケに布を取られてしまった。

やはりここは様子見できたか。

あとの二人は動かないが、タケの素早い対応を見て出しぶっているようだ。

よし、チャンスだ。

ここで攻めるしかない!

「ゴー!!」

タケの大声で攻撃の合図が出た。

すぐに強運のユズが走り出す。

敵の間をするりするりと交わしていき、ボールから敵を遠ざける。

続いて俊足のニシ。

敵陣の外周をぐるぐる回って、敵を混乱させる。

それから第六感の持ち主、ツルが絶好のタイミングを見計らって

タケに合図をする。

そして、屈強なタケがボールを取って布を何度も引っ張られながらも

取られることなく見事、陣地に戻ってくる。

そして、ものの三分間でゲームは終了する。

そう、いつもなら。


「ゴー!!」

タケの合図が出た。

ユズが走り出し、いつもの強運で敵をかわす。

ニシも出た。

やはりいつものように敵陣を回る。

青空決死隊の三人はいきなりの攻撃について行けていないのだろう

防御がワンテンポ遅れている。

このままいけば、勝てる!

そう確信したときだった。

ユズの合図で飛び出したタケが一瞬で布を取られたのだ。

あのタケが!

俺は信じられない光景に我が目を疑った。

タケを破ったのは、きさらぎかなた。

ツルの情報収集に引っかからなかった謎の男だ。

何でだ。

タケが布を取られたことなんて今まで一度もなかったのに。

それを一瞬で・・・・・

一体何者なんだ、きさらぎかなた。


一気に体勢を崩したゴールデンビートルズは一目散に陣地へと戻ってきた。

みんな不安そうな顔をしているが、それもそのはず。

実を言うと俺たちの作戦らしい作戦といえば、さっきのが一つだけなのだ。

今まで、この作戦に勝てるチームはいなかった。

だから他の作戦なんてもうないし、

これから新しい作戦を立てるなんてのは不可能だ。

もう一度同じ戦法でいくことはできるが、

そんなことをしたら今度は確実に全員の布を取られるだろう。

みんなが頼みの綱である司令塔、俺にチラチラと視線を送ってくる。

どうしようか・・・・・・

限られた時間の中で作戦を立て、

それを敵にばれないようチーム全員に知らせる。

いつ攻めてくるかもわからない敵の動きにビクビクしながら

これらの動きができるだろうか。

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・無理だな。

作戦のことに注意が向いている隙に攻められるのがオチだ。

でも、このまま何もしなくても奴らはきっと攻めてくる。

防御仕切れる自信もない。

勝てる望みはもう限りなく少なくなってきている。

無駄な体力はなるべく使いたくない。

ここで出てくる考えはただ一つ。

それは、敗北宣言。

張り場争いにおいて、最も屈辱的な行為とされてきたこの敗北宣言を

俺たちもとうとう使わざるを得なくなったようだ。


そして・・・・・・

「「「「「参りました」」」」」

五人の声が上がった。

ゴールデンビートルズ初めての惨敗である。

しかし、これは体力温存のための敗北。

次に繋げるための敗北なんだ。

この屈辱を無駄になんかしないぜ?

残念だったな青空決死隊。

次の勝負、負ける気がしない!!

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