異世界恋愛で良くある追放先で喫茶店を経営する悪役令嬢問題
「エスメラルダよ!全ての生徒の模範になるであろう公爵令嬢が男爵令嬢を虐めるとは言語道断!」
「殿下、今一度お確かめ下さい!」
「くどい!」
「殿下ぁ、私がいけないのです。私が、エスメラルダ様に気に入られるような行動を取らなかったから」
「リリシャは悪くない!」
学園で抗争が起きたわ。貴族派と平民派の対立が激化した。
私は貴族派の筆頭をして恨まれ。殿下達に糾弾されたわ。
「やれやれ、全く、エスメラルダはお高いぜ」
「そうです。学生は友愛を大事にするって校則でありますよ」
騎士団長の子息、宰相の子息・・・
そして、義弟ハーバーにも糾弾された。
「義姉上は学園の恥です!」
そして、生徒会長の殿下は・・・
「エスメラルダ、いや、ジークフリート公爵令嬢は副会長を後任!学園の退学を勧告する!そうそうに屋敷に戻るが良い!」
「そうだ。馬車ではなく歩いて帰れよ。平民の苦労を思い知るのだ!」
「「「「そうだ、そうだ」」」
「我はジークフリート公爵令嬢との婚約の破棄を宣言する!」
学園は自治が原則だわ。殿下自ら平民派になってたきつけたから先生方も手出しが出来ない。
明らかな冤罪だわ。
でも、後で無罪だったと証明されても何も意味がないことよ。
糾弾されたこと自体が問題だわ。私の失態とお父様は考えるわ。
だから、私は、歩いて学園を後にして・・・そのまま家出をしたの。
【まるで演劇の悪役令嬢みたいだな!】
殿下の言葉が耳に刺さる。悪役令嬢・・・
後に陛下が介入して調査を命じられたわ。
リリシャは魅了薬を使っていたと判明した。
殿下とご学友たちは・・治療の後に謹慎になったわね。
私は泣いたものよ。人目もはばからずに・・・お金なんてたいして持ち歩いてはいないわ・・・
途方にくれたわね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
☆☆☆王国中部シモンの街、喫茶店『悪役令嬢』
「と、そんなこともございましたわねっと」
「「「エスメラルダ帰って来てくれ!」」」
「義姉上!どうか、帰って来て下さい!」
私はエスメラルダ、今も公爵令嬢かどうか怪しい。
四馬鹿がやってきた。謝罪もしないで帰って来てくれと言う。
「ところで商売の邪魔です。帰って下さいます?」
「こんな喫茶店やめて帰って来てくれ!」
「こんな?」
私は王国中部の小さな喫茶店のマスターをしている。
チャリン♩
あら、お客様だわ。
「ママ、お久しぶり・・・って、何だ。貴族の方?」
「気にしないでハンスさん。いつもの席空いていますよ」
「おう、座るぜ。ママ、注文は・・」
「いつものね」
あっけに取られている殿下達を尻目に私はコーヒーを入れる。
「ママ!聞いてよ。親方が俺を叱ってばかりだよ。他の奴は放って置くのに・・・」
ハンスさんが愚痴をこぼす。
私は。
「よっと」
速報マダム新聞を読みながらハンスさんの話を聞く。
「でよ。俺が高い所に登ると親方は、お前にはまだ早いと言うんだぜ!全く嫌になるぜ!」
話が終わる感じがしたら・・・最後に私の感想を言う。
「・・・『まだ』早い・・・ということはいつかじゃない?」
「いつかっていつだよ!」
「いつかって、希望の国から来るのよ」
「そんなこと・・」
「貴方なら、レースにロバと駿馬、どちらを出してムチを打つ?」
適当なことを言う。
するとハンスさんは。コーヒーをガブと飲んで。
「そうか!そうだよな!」
と勝手に納得して。
「ママ、また来るぜ!」
「まいど」
お金を置いて行く。これは天職なのかしら。
さらに、平民のお嬢さんが来たわね。
チャリン♩
「ママ、聞いて、イケメン吟遊詩人に手紙をだしたのだけど型どおりの返事しかこないわ」
「へえ~」
どうでも良いわ。といいつつ注文してくれるので、相づちを打つわ。
そして、最後に・・・
「・・・マリアちゃんも本当は自分でも分かっているのではなくて?」
「グスン、そうですよね」
「前を向きなよ。イケメンが・・・って、ここにいるわね。どう?」
殿下を指さして紹介する。
「なっ、エスメラルダ・・」
「ううん。幼なじみのハンス・・がいるから」
マリアはお金を置いて喫茶店を去ったわ。
また、きたわ。今度はサムお爺様。
「・・・あ、いつもの」
「はい、サムお爺様」
「・・・・・・・・・」
彼は無言だ。速報マダム新聞を読みながら放って置く。
あら、新婚初夜にお前を愛する事はないと言われて屈辱にむせび泣く伯爵令嬢!
そんな殿方がいるのね。
「エスメラルダ!また来る!」
「お客様としてでなければ来ないで下さいませ」
殿下たちの方を向かないで言ったわ。
次の記事は・・・まあ、『殿下と側近達、失脚の危機、復帰は元婚約者エスメラルダの帰還が条件、父公爵の魂の叫び!公爵令嬢の復帰はなるか?』
ならないつうの。
それからしばらくして向かいの店舗がいきなり喫茶店になった。
出資者は父であの四馬鹿が経営者?・・・あれ、1人増えているわ。五馬鹿、誰かしら・・・
五馬鹿が働くようだ。
「エスメラルダよ。お前のおままごと経営もおしまいだ。帰って来い。また、我の婚約者に復帰するのだ」
「姉上、殿下は領地経営をされています。勝負になりません。帰って来て下さい」
「「そうだ。そうだ」」
いつもそうだ。こっちの気持を考えないで押しつける。
「そう、頑張りなさい」
私は店に戻って通常の営業を続けた。
向かいの店名はアウグスト喫茶店、へえ、王太子殿下の名前じゃない。つまり、王家の威信がかかっていると。
「最高級の茶葉、コーヒー豆、料理、最高のおもてなしが出来る使用人達が揃えています!」
「「「いしゃっらいませ!」」」
あら、美人な子とイケメンが店員かしら。
大勢いるわね。人件費大丈夫かしら?
客足が完全に向こうに行ったわね。
まあ、どうでも良いわ。
私は速報マダム新聞を読みながら客を待つ。店舗には12席しかない。今まで1日客は5から3サイクルこなしていたが、さすがに3サイクル以下の日が続く。
「特別キュンペーン!今なら半額!」
「「「「行く!行く!」」」」
「キャー、イケメン店員よ」
あちらは資金力の暴力で客を更に奪おうとした。
まあ、どうでも良いわ。
常連さん達は心配してくれるわ。
「ママ、大変だよ。俺、毎日通うよ」
「そうよ。常連で話し合うわ」
「フフフ、その気持で十分よ。こちらはほどほどの茶葉と豆、それほどの料理だわ」
殿下達は・・・毎日店に来ないわね。
時々視察に来る。自分らの店ではない。私の喫茶店を見に来る。つまり、潰れるのをまっているかのようだ。
「エスメラルダよ。こんなふざけた名前の喫茶店!つぶしてやる。悪役令嬢喫茶って俺への当てつけか?」
「ええ、そうよ」
☆☆☆
【まるで演劇の悪役令嬢みたいだな!】
雨の中、学園を背にした。決して振り返らなかった。
「グスン、グスン・・・」
泣きながら歩く。
手持ちのお金でなるべく遠くに行こう・・・
馬車に乗り。この街のこの店にたどり着いた。
「寒い・・・暖かい紅茶・・・飲みたいわ。最後のお金だわ」
店に入った。
チャリン♩
「あの、お紅茶を下さい・・・」
「はいよ」
いたのはマスター、ゼムお爺様だった。
ゼムお爺様は速報紳士情報を読んでいたわ。
お茶を飲んでいたら。
「はいよ」
「え、注文していませんわ」
トーストを出してくれたわ。
「・・・お金がございませんわ」
「腹減ってんだろう?」
グゥウウーーー
まあ、はしたないわ。お腹の音が鳴ってしまった。
何の変哲もないトーストだけど、美味しくて涙が出た。
そして、私はマスターに話し出した。
「グスン、私、婚約破棄をされまして・・」
「へえ、そう」
何故か話が止らない。
「まるで、悪役の令嬢のようだと言われました・・・わ」
「へえ、いいじゃない。悪役令嬢の何がいけないのさ?」
「えっ・・・」
「悪役がいなきゃ、善玉が光らない。悪役令嬢は消えない。ただ去るってね。どこかできっと生きているのさ」
「そうですか・・・そうよね」
「お嬢さん。行くとこないんだろう?店の二階あいているぜ」
「はい・・・」
「実はよ。この店は今月でしまいだ。もう歳だ。息子夫婦と暮らす・・・だから、この店をお嬢さんにやるぜ」
「は、はい!」
「この街には喫茶店が必要なんだよ!」
「はい!」
そう、この店舗は私名義になった。家賃を払わなくてすむ。私一人なので人件費もかからない。つまり最低2サイクル、客24人来れば私は生きていける。
3サイクルくると、たまに縦ロールの手入れをしてもらうくらいの贅沢は出来るわね。
・・・・・・・・・・・・
殿下が店を初めてから数ヶ月経ったわ。
【何だと!この赤字だと!だからどうした】
「ですから、高級品をこの値段で提供をすればこうなります・・」
「それは良い。何故エスメラルダの店は潰れない!涼しい顔をして新聞を読んでいるではないか?」
「さあ、私は言われたことをしています。私は執事です。経営者ではありません」
何だか。向こうの使用人達が来るようになった。
チャリン♩
「ママ、聞いて下さいよ。主人は私の最高のおもてなしに目をくれずに、責めてばかりです・・・」
「へえ」
「高級品を安く売る。原価割れをして売るなんて商売ではありません」
「そうなんだ」
「もう、嫌で元の職場に戻りたいです・・・」
「あのさ、君は今まで執事としてやってこられたのでしょう?それは誰かが見ていたからじゃない?」
「そうか、そうですよね」
「貴方は独りじゃないわ」
ボチボチ流れて来た。
常連さん達は不服を言うが・・・
「ママ、騒がしくなったな。一見さんばっかりじゃないか?いいの?」
「フ、皆、最初は一見さんよ。始めから常連なんていないわ」
そんな中、あの五馬鹿の1人がやってきた。顔の知らない奴だわ。
「やあ、初めまして、悪役令嬢のママ、エスメラルダさん。私はアウグスト殿下の親友、マクリミリアンです。ミリアンと読んで下さい」
「長いわね~、必要があれば呼ぶわ」
「はい」
「お嬢様が高級喫茶店をやるとしたら、どうしますか?」
「そうね。王都商業都市の貴族用の喫茶店か、馬車止めがある郊外の喫茶店ね・・・」
「資金を出します。やりませんか?」
「しないわ」
「もっと売り上げがあがりますよ」
「面倒だし」
「なら、この店の改装をしませんか?お近づきの印に私にやらせて下さい」
「そうね。雨漏りを直さなきゃと思っていたからやって下さる?」
「はい、大工を手配します」
「いらないわ。貴方やりなさい」
「えっ!」
ミリアンに大工仕事をさせた。
何だか、ミリアン付きの家来っぽい奴らに抗議された。
「・・・大国、ギルマン帝国の皇子殿下に大工仕事をさせただと!」
「許せない。皇帝陛下に報告だ!」
「待て、私が望んだことだ」
私はお茶とトーストを用意して彼を待つ。
「終わりました・・・」
「ご苦労様、まあ、汗ダクダクじゃない。シャワーを浴びなさい。替えのシャツは、前のオーナーの物があるから、服は洗濯してあげるわ。そしたら、食事にしましょう」
「はい・・」
「ファイヤーアロー!」
学園で学んだ魔法が役に立つ。タンクの水をお湯にした。
「湯加加減、悪かったら言ってね」
「丁度いいです」
その間、彼の服を洗濯する。
しかし、縦ロール邪魔ね。
その後、殿下の喫茶店は潰れた。というよりも資金が尽きたようだ。
殿下たちも店に来た。
「仕方なかったのだよ。魅了だよ・・・」
「そうだ。俺は悪くない」
「魅了と言うのは不可抗力でして・・・」
「義姉上、帰って来てくれないと元の家に帰されるよ」
「あの~、注文して下さる?」
もう、殿下達が魅了薬を飲まされる前からこのような予兆はあったわ。
チャリン♩
「いらっしゃい。あら、ミリアン、どうしたの。花束を持っておめかしをして、さてはデートかしらね」
「ラル・・大事な話があるが、まずは注文だな」
「「「「愛称呼びだと!」」」」
「いつもの」
「はいよ」
「「「「常連だと!」」」
「あのこれ、素敵な花束があったので・・・君にもらって欲しい」
「あら、店に飾らせてもらうわ」
「・・・いえ、私の国に来て欲しい!」
「まあ・・私、何の能力はありませんよ」
「「「「プロポーズだと!」」」」
「・・・ごめんなさい。私、この街が好きだわ」
「「「断られた!」」」」
四馬鹿はやかましい。
「注文しないなら帰って下さいませ!」
「私は諦めないよ。毎日通う!」
まあ、どうしよう。今度は私が誰かに話したくなったわ・・・
胸の鼓動が聞こえる。
店をたたもうとしたら・・・
チャリン♩
「あの、紅茶を下さい・・」
貴族令嬢が来たわ。
「グスン、グスン・・・」
「はい、お紅茶とトースト」
「え、トースト頼んでいないですわ。お金がありません」
「サービスよ」
「グスン、グスン、私、結婚したけど、旦那様に愛人がいて、初夜にお前を愛する事はないって・・・
私の部屋で身支度をして愛人の部屋に向かいます・・・グスン、誰も女主人としてみてくれませんわ・・」
「そう・・そうよね。辛いよね」
「では、ごちそうさまでした・・」
「待ちなさい。二階空いているわ。行くとこないのでしょう」
「はい・・・助かります」
「実はね。私は行くところがあるの・・・貴方、喫茶店やってみない?」
「えっ」
行く所があるのなら、行かなきゃ失礼というものだ。
ここは行き場のない者たちが一時的に避難するオアシスなのかもしれない。
最後までお読み頂き有難うございました。




