4話 充実した出会い
やばい。先輩に会えたことが嬉しすぎて、内容が全く入ってこなかった。
先輩に会えただけお釣りが返ってくるくらいのことだし、なんなら一緒に映画見ちゃったし。ま、別に興味無かったしいいや。
「切ないお話だったね。」
「はい!」
「ふふ、本当はなーんも聞けてなかったでしょ。」
ぎく。
先輩は人を見るのが上手いなあ。ちょっとびっくりしちゃったけど。
「どうしよっか。カフェでもいく?」
「ちょっと今月はお財布が…」
「映画を見る余裕はあったのに?」
ぎくぎく。
「……先輩とふたりでカフェなんて烏滸がましいかなっって。」
「まあ、本当に金欠なら私が奢るよ。行こっか。」
「何にする?私出すから何頼んでもいいよ。」
「あー、じゃあストロベリーフラッペお願いします」
「私はアイスティーで。」
流石に申し訳ないからあとでお代出そう。
「まだフラッペ早くない?」
「私コーヒーも紅茶も飲めないので…。」
「あ、そうなの。ごめんね。」
「先輩ホットコーヒー飲んでるイメージだったんですけど、アイスティーも似合いますね。」
「ありがとう。パンケーキとか食べる?」
「今ダイエット中で…。」
「そうなんだ。頑張ってね。」
さっきから否定してばっかりじゃん私!申し訳なさすぎて死にそう。
「ストロベリーフラッペとアイスティーです。ごゆっくり。」
「フラッペとか頼んだことないなあ。ちょっともらってもいい?」
「全然!いくらでも!」
せ、先輩のストローが……
待って、今変な顔してないよね。今すぐにでもトイレに駆け込みたい。
「ちょ、ちょっとお手洗い行ってきますね」
「うん、ゆっくりいってらっしゃい。」
ちょっと顔赤くなってた。恥ずかしい。
「…おかえり。飲み終わったらどこ行こっか。私、服見たいんだよね。」
「通り行くんですか?」
「うーん、まあそうかな。あまり歩いては行かないんだけど、スピネルちゃんと少しでも一緒にいたいからさ。」
やばい嬉しすぎてニヤつきそう。
「じゃ、支払い行ってくるから。まだのんびりしてていいよ。…あー、お代はポケットにしまってて。私からの気持ち。」
待って、ここブランド店立ち並んでる通りだよね!?
「ウィンドウショッピングってやつ、かな。大体家族と行くから、歳の近い子と行けるのは新鮮かも。」
嬉しいけどそれどころじゃないです。
「たまに親友と、このあたりの通りくるんですけど大体見るだけで…。先輩お金持ちなんですね。」
「そうなの?何か買ってあげようか?」
「いやいやいやこのあたりの服、一着だけでも万とかするじゃないですか!流石に恐れ多いですよ。」
「ごめんごめん。スピネルちゃん可愛いからさ、ついつい色々買ってあげたくなっちゃって。」
色んな意味で心臓止まるかと思った。




