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見た目がチャラい井上四季は、なぜか皆に誤解されてる  作者: 北森青乃
第2章 ボランティア部、始動編
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41話 ギャルVSナンパ男

 


 とある休日。

 天気に恵まれた青空のもと、俺はとある駅に来ている。

 勿論1人な訳なのだが、その理由は……


(えっと? もう着いてるので、駅の前で待ってます……か。待ち合わせの30分前のメッセージだぞ? 早すぎやしませんかね? 桃さん)


 そう、岩田桃との約束の為だ。

 あれから早速メッセージが届き、様々な件に関するお詫びとしてご飯のお誘いを受けていた。そのお誘い自体は嬉しいものだが、頭には岩田先輩の姿がちらついている為、なんとかノラリクラリと躱していた。その内連絡もしてこなくなるだろうと思っていたのだが、そんな俺の予想は見事に外れた。


 メッセージの頻度はそれほど多くはないが、毎回の申し訳なさそうにこちらを伺う内容。更に事情を知っていると思われる、笹竹と菖蒲ら後輩達からの直々のお願い。毎回教室へ来られた結果、なんとも良くない噂まで聞こえてくる始末。

 これはマズいと思い、生徒会からの依頼報告書の完成及び、七夕への報告が一段落したタイミングで承諾したという訳だ。


(えっと、駅前に居るはずだよな……)


 こうして本日、お言葉に甘えてご飯をご馳走になろうかと思っているのだが、見渡しても桃さんの姿はない。とりあえずメッセージを送ろうかとスマホをタップすると、数分前に桃さんからメッセージが届いていたことに気が付いた。


(ん? 少し暑いので飲み物買っておきますね? 井上さんは何か希望ありますか?)


 幸いこの駅周辺には何度か来たことがある。駅の外で自販機があると言えば、駅横の細い路地。もしかすればそこに居るのかと思い、様子を見に歩き始める。

 そもそもご飯をご馳走するというのに、暑いから飲み物を買っておくという優しさ。本当に岩田先輩の妹なのかと疑念は深まるばかりだ。


「ちょっと、止めてください」


 こうして自販機があるであろう路地へ入った時だった、耳に入ったのは聞き覚えのある声だった。


「良いじゃんかよ~」

「そうそう! 俺達と遊ぼうぜ?」


 これまたどこか聞き覚えのある言葉に視線を向けると、自販機の前で何やら揉めているらしき人達の姿。


「だから、待ち合わせしてるんですってば」

「俺がその待ち合わせの人になってあげるよ~」

「そうそう。良いことしようぜ~」


 女の子1人に男2人。典型的なナンパの光景は別に珍しいものではないのだが……


「あっ、桃さん……」


 問題は、絡まれていたのがまさかの桃さんだということだ。


(いやいや、どんだけナンパされてんだよ)


 確かにその容姿は一般男子が放っておかないレベルなのだろう。それにしてもただの偶然か、こうも目の前でそういう現場に遭遇するとは、素直に感心してしまう。


「嫌です!」


(っと、今は感心してる場合じゃない。助けないと)


 それにしても、春葉や姉達のおかげで身に着いたナンパ撃退法がここまで役に立つとは。彩華と采彩さんに至っては目だけで撃退可能、春葉と彩夏はもはや俺の反応を楽しむというトンデモ女子達。

 そんな奴らでさえ、知る限り片手で数えるぐらいしかナンパにはあっていない。まぁ、彩華と采彩さんはどこだかんだで遭遇してるんだろうけど、それを抜きにしても桃さんのナンパ遭遇率は結構高い。


(とりあえず、いつもの感じで行きましょう)


 毎度のことながら、女の子の嫌がる姿は見るに堪えない。そうと決まれば、早速助けに行くべきだと足早に近付いた。


「あっ、こんなところに居たんだ~探したよ」

「えっ?」

「あぁ?」

「なんだぁ?」


 基本的には最初に桃さんを助けた時と同じ方法がベターだ。その後、ナンパ男達は大体2パターンに分かれる。

 1つは思いがけない男の登場に驚くタイプ。

 もう1つは……


「じゃあ、行こうか?」

「はっ……うっ、うん!」

「おっ、おいおいおい! てめえ誰だよ!」

「俺達が話してんだろ?」


 男の登場に反応するタイプ。

 正直この手のタイプは結構面倒だ。基本シカトで立ち去るのが良いだろう。


(えっと、前にも手つないで逃げたから……大丈夫だよな?)


「心配したんだぞ?」


 そう声を掛けながら、さも自然な形で桃さんの手を握る。その行動の意図を察してくれたのか、桃さんは迷うことなく握り返してくれた。こうなれば、後はこの場を去るのみなのだが、


「って、聞こえてねぇのか? この金髪野郎!」

「お前、何者なんだよ!」


 珍しく突っかかってくるタイプのナンパ男達に、いささか面倒臭さを感じてしまう。


(あぁ、こういうタイプはマジで粘着してくるんだよな。後々面倒になりそうだし、パッとケリをつけますか)


「ん? 彼氏だけど?」

「なっ!」

「はっ?」


 その言葉に、一瞬動きが止まるナンパ男達。その隙を見逃す訳にはいかなかった。


「行こう」

「うっ、うん」


 こうして、無事に離れることに成功した俺達。足早に歩きながら、小声で桃さんへ声を掛ける。


「桃さん、ああいうタイプはちょっと厄介だと思う。行こうとしてるお店って近く?」

「えっ? あっ、はい! そこをとりあえず右に曲がります」


「了解。ちょっと嫌かもしれないけど、このまま手つないだ状態で店まで行こう」

「わっ、分かりました」


 ちょっとしつこいタイプのナンパ男達は、移動しても懲りずに追ってくることもある。それを考えると、立ち止まってあれこれ話している間に追いつかれる可能性は大。そうなればまたもや厄介だ。

 とりあえず、このまま桃さんご指名の店まで行く方が安全だった。


(えっと、曲がって……げっ!)


 桃さんの言う通り、右へと曲がろうとした時だった。丁度角にある店から出てきたギャル。その顔には見覚えがあった。そしてこの状況で出会うには、少し厄介な人物な気がしてならない。


「あれー、井上じゃんー」

「おっ、おぉ。天女目さん」


 まさかここで天女目さんに出会うとは予定外。しかもその性格上、この状況的を面白く思わない訳がない。


「どしたのー? あれー、デート?」


(今ごちゃごちゃ考えても仕方ない。とりあえず事実を話して、あとは……天のみぞ知る!)


「デートじゃなくて、ちょっとしたお礼にご飯のお誘いを受けたんだ。けど、ナンパされてたから、絶賛逃げてる最中なんだよ」

「ナンパー? 確かに可愛い子ちゃんだもんねー。てか、もしかしてナンパしてきたのって黒いアフロと、金髪鼻ピアス?」


「まさか来てる?」

「うんー。見た目からしてしつこそ―だもんねー」


(マジか! やっぱ追ってきやがったか。だとしたらこうしちゃ……)


「いいよー井上―、アタシ何とかするー」

「えっ?」

「何とかするって、一体どうするんですか?」


「ふふー。任せてー可愛い子を守るのは―女としてとーぜんっしょ?」

「あっ、ありがとうございます」


 思いがけない天女目さんの言葉に、少しばかり驚きを隠せない。その真意はともかく、そう言ってくれるならここは任せるべきではないだろうか。


「えっと、じゃあ頼んでも良いか?」

「もちー。その代わりー貸しね? 井上?」


(……ぐっ。その貸しって言葉が滅茶苦茶怖いんですけど? でも、この際仕方がない)


「分かった。じゃあ、頼む」

「了解―」

「すいません。ありがとうございます」


「でも無理だけはするなよ? 天女目さんに何かあったら、意味ないんだから」

「心配さんきゅー。そうなったら、貸しを増やすだけだから安心して―。ほらー行った行ったー」

「ありがとう。天女目さん!」


 こうして天女目さんの力を拝借し、俺達は桃さんの言う通り道を曲がっていく。するとしばらくして後ろから天女目さんの声が聞こえてきた。


「あーいたいー。ちょっとーそこの人ぶつかって来たんですけどー」

「はっ、はぁ?」


「なんだなんだ?」

「どうしたの?」

「女の子にぶつかって来たんだってよ」

「ひどいわ……」


(うお、天女目さんやるな。ちゃんと借りは返すから!)


 きちんとお礼をしなければと考えつつ、俺達は人込みを避けながら歩き続ける。



次話も宜しくお願いしますm(_ _)m

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