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文案公開:『心の瑕疵』 第365話:来世でもまた会えますように ( 抜粋 )

……

…………

………………

目を覚ました時、僕の世界はぼんやりと霞んでいた。

目尻にはまだ涙の跡が残っている。


きっと長い夢を見ていたはずなのに、目覚めるとその記憶は霧のように消えていた。

それは、僕がずっと望んでいた世界だった。


なぜなら、そこには僕が思い描いたすべての美しいものが溢れていて、世界はまるでカラーフィルターを通したかのように鮮やかだった。


窓の外を走る車の音さえ、見事な交響曲のように響いていた。


昨日、小和田さんと別れた後、僕の心は驚くほど穏やかだった。

きっと今日は、この日記を書く最後の日になるだろう。


_______________________________________________________

第365日目


薬をやめてから一ヶ月が経った。今のところ、心はますます静かになっていくのを感じている。

これが僕の美しい世界で、誰にも汚されない場所だと思う。

人と距離を保てば保つほど、僕の心は完全に近づいていくような気がする。

_______________________________________________________



ペンを止めると、日記のページの間に挟まれた一枚の写真が目に留まった。

それは僕と小和田さんが一緒に写っている写真だった。振り返る過去は、いつも金色に輝いている。


*****


日記を書き終えると、僕は大きくあくびをして、静まり返った部屋を見回した。

特にすることもなかったので、僕は階段を降りて、自分で朝食を作ることにした。


「美味しいハムサンド!」


朝食を食べ終えた後、僕はさっき書いた日記を手に取り、小和田家へと向かった。

これは彼女との約束だった。一年間書き続けた日記を交換して読むことになっている。


通り過ぎる家や田畑が、穏やかな田舎の旋律を奏でる。

水の流れる音、風の音、自転車のチェーンが鳴る音——


小和田家は、この辺りの町外れにある。

視界を遮る高層ビルが、地平線を覆い隠していた。


その圧迫感が、僕の心を少しだけ重くした。


暴走しそうな衝動を抑え、僕は前を見つめながらペダルを踏み込んだ。

すぐにでも小和田さんに会いたかった。


いつもの古びたアパート——

僕は一階から五階まで駆け上がった。


階段の踊り場に、見覚えのある姿が立っていた。


「重信くん!昨日はあんな酷いこと言って、ごめんなさい!」

小和田さんが、懸命に謝罪してくる。


僕は、人から謝られるのが嫌いだった。


顔に浮かぶ汗が、さっきまでの努力の証だろうか。

僕は息を吐き、ゆっくりと首を振った。


「……どうしたの?まさか、本当に……私のこと嫌いになったの?」

小和田さんは今にも泣きそうだった。


「早く……見せてあげるよ。」

僕はぶっきらぼうに、自分の日記を差し出した。

「それと、君の日記も。」


「あっ……うん!」


小和田さんは涙を拭い、部屋の中へと戻っていった。


「君も入って。」


彼女はそう言うと、僕を振り返った。


僕は何も言わなかった。

静けさを壊したくなくて、ただ彼女の後についていった。

………………

…………

……

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