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強過ぎてごめん2

「このチャーハン美味いね。久々にコメ食ったわ。マクドナルドは食い過ぎてもうロゴを見ただけで吐き気がする」


 ここは戦艦内の食堂。調理担当の兵士は厨房内から不安げにこちらの様子を伺っている。まったく君は良い仕事をしてくれた。火がしっかり通っていてパラパラとした食感で美味いぜ。さすが本場の味は違う。艦内の食堂でイスに腰掛けテーブル上のチャーハンをかきこむ俺の前には先ほどの日本語が出来る兵士が腰かけてこちらをにらんでる。


「そんな風に見つめられちゃ食べづらいよ」


「オマエハイッタイ、ドコカラキタンダ?」


「アメリカ」


「アメリカダト?」


「自由の国だと聞いて行ってみたら路上はホームレスとジャンキーだらけ。実際はひどいもんさ」


「ワレワレハ、オマエガワレワレヲ、コウゲキニキタノカト」


「それで俺を攻撃したのか。俺は自分の国に帰ろうとしてただけだ」


「ジブンノクニ?ソレハ、ドコナンダ?」


「日出ずる国、ジャパンさ」


「オマエハニホンジンナノカ?」


「さあね。宇宙人なのかも」


「ヤクソクドオリ、ソレヲタベタラ、デテイッテクレルノカ?」


「ああ。こんな野郎ばかりの狭くてむさ苦しい所こっちから願い下げだぜ。ところで周りの船にも俺に攻撃しないように伝えてくれ。今度やったら全艦沈めて海の藻屑にしてやる」


「ワカッタ・・・」


「ごちそうさま。チャーハン美味かったよ。ところで帰る道を忘れちまった。どうやって帰るんだっけ?」


「アンナイシヨウ」


 というわけで俺はまた甲板に立っている。俺の側には日本語メガネ野郎。そしてその背後には兵士達の群れがこちらの様子を伺っている。俺は日本語メガネ野郎に聞く。


「ところで日本列島に帰るにはどっちに行きゃいいんだっけ。よくわからなくなっちまった」


「ダイタイ、アチラノホウコウノハズダ」


 奴が指差した方向を見る。俺が飛んできた大まかなルートはどうやら間違ってなかったようだ。


「サイゴニキカセテクレ、オマエハイッタイ・・・」


「じゃあな!」


 俺は甲板から飛び立った。唖然としながら俺を見送る兵士達がどんどん遠ざかり小さくなって行く。待ってろよ我が祖国。帰って読みたいマンガやアニメが山ほどある。だが俺は知る由もなかった。ここまでの事をしてただで済むわけはないと。そしてこの一件が俺の人生ひいては国際情勢を大きく塗り変えて行くことになろうとは。












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