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強過ぎてごめん

 俺の身体は今まで感じたこともない強い衝撃を受けて弾き飛ばされた。何だ、今のは?これまでは早く帰りたい一心でひたすら前方ばかり見ていたが眼下の海面に目を凝らしてみる。そこには何隻の戦艦がひしめいた。奴らか?この俺を攻撃しやがったのか?と思ったら奴ら艦船の大砲が一斉に火を吹く。おいおいやめてくれよ。さっきのでもうすでに服がボロボロだ。これしか持ってないんだぜ。


 砲弾の威力に関してはさして脅威ではなかったが俺はムカッ腹が立ってきた。こちとら帰国のため飛んでただけだぜ?俺はその中の戦艦の一隻に向かって急降下していった。そして忌々しい大砲を掴んで引きちぎって思い切り海に投げ捨ててやる。どうだ参ったか。クソが。


 俺は戦艦の甲板に降り立った。俺の地獄耳が逃がさないぜ。甲板下からどうやら武装して兵士達が駆けあがってくるのを。ようやく来やがったか。俺は甲板上で兵士達からライフルの銃口を向けられる事になった。


「他到底是谁? 这个人是谁?」

「这个人真的是人类吗? 真不敢相信」


 クソ、日本語で話せ。カスどもが。


 奴らにもこのジェスチャーは通じるのかな?俺を両手を突き上げ双方、思いっきり中指を立ててやってた。奴らの表情が変わるの見てとれた。オーケー、俺の意思は通じたようで何よりだ。


「该死的,杀了它!」


 上官らしい奴が叫ぶ。兵士達が俺に向かって一斉射撃する。あのさあ、大砲でさえ倒せない俺をそんなマメ鉄砲で倒せると思う?


「你怎么了? 这家伙根本不想摔倒!」


 兵士の一人が叫ぶ。やがて奴らは弾を撃ち尽くしても相変わらず倒れない俺を見て唖然としていた。


「マイターン♡」


 俺は次々と兵士達の身体を掴んでは一人残らず船外の海上に放り投げていった。兵士達は全員、間抜けな叫び声を上げながら海上に落ちていった。今度はこっちから出向いてやる。


 艦内に侵入した俺をまたも兵士達が拳銃発射で出迎えてくれる。だからそんなもの効かないって。学習しない奴らだ。そう思っていた矢先、新手の歓迎が来た。俺の足元にコロコロと転がってきた球体をサッカーボールみたく足でキャッチする。手榴弾ってやつだ。へえ初めて見たぜ。俺の足元で手榴弾が爆発する。やれやれお陀仏だ。ずっと俺と共に歩み続けてきてくれたスニーカー君が。もうボロボロじゃねえか。


 ふと見ると前方では操舵室の分厚い扉を兵士達が大慌てで閉めていた。


「駄目駄目駄目。そんなとこに引きこもろうとしたって。無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!!!!!」


 俺は操舵室の分厚い扉を力任せにこじ開けてみせる。中の兵士達がどよめく。その中の偉そうな白髭を蓄えたオヤジが俺に詰め寄る。


「你毁了我的战舰・・・你这个怪物!」 


「あ?日本語で話せ、クソオヤジ」


 何を言ってるのか知らねえがその尊大な態度が気に入らねえ。俺はオヤジの額目がけてデコピンしてやった。オヤジは白目を剥いて卒倒する。慌てて周りの兵士達が失神したオヤジを抱きかかえる。安心しな。軽い脳しんとうで済むはずだ。命に別状は無い。この俺の寛大さに感謝するんだな。


「オイ!オマエ!イッタイドウイウツモリナンダ!」


 久しぶりに聞いた日本語に思わず鼓膜が総動員しちまう。振り向くと30代くらいの眼鏡をかけた色白な兵士の男がこっちをにらんでいる。


「何だ。いるじゃねえか。日本語使える奴」


「カンチョウニムカッテ、ナンテコトヲ・・・」


「さっきのオヤジ艦長なの?どうりで偉そうだと思った。それより俺にお前らの武器は効かないからお仲間にもそう伝えてくれ」


 男は不服そうながらも周囲に叫ぶ。


「我们的武器对他毫无用处!停止攻击!」


 兵士達は相変わらず俺に向かって銃口を向けたままだが発砲は控えてるらしい。


「ツタエタゾ。オマエノ、ヨウキュウハ、イッタイナンナンダ?」


 俺はしばし考えてこう言った。


「腹減った」





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