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モンスター

 俺は月面の星条旗を眺める。いっその事、地球を捨てて他の知的生命体がいる惑星を探せば良いのだろうか。学者によれば地球以外にも知的生命体がいる可能性は大いに考えられるそうだ。


「あなたに大事な事を告げずにいたのは本当に悪かったわ。でもショッキングな事だからどう伝えていいものか我々も思案していたのよ」


 乗り込んだ先での防衛省で菅凉子は俺にこう告げた。


「マザーを必ず治すから力を貸して欲しい。そうお前らは言ったんだ。だが、これはどういう事なんだ。約束が違う」


「我々も力を尽くしたわ。でも、これは非常に残念で悲しい事だけど彼女を救う事は出来なかった。最先端の医療を持ってしてもね。これに関しては本当に申し訳なく思ってる」


「ひかりの園はどうなってるんだ?どうしてマンションが建ってるんだ」


「あそこは都市計画の一環で仕方なかったのよ。でも移転先でもっと大きな施設になったわ」


「お前らは何もわかってない。あそこはマザーが心血を注いで築いた地で俺の故郷だ。そういう問題じゃない。そういう問題じゃないんだ」


「力人くん・・・確かにあなたの言う事も最もだわ・・・だから」


「わかってない・・・!!」


 気安くファーストネームで呼ばれた事がやけに癪に障った。俺は思わず叫ぶと同時に激昂のあまりに両目に高熱が生じ真っ赤な閃光が走る。それを目にした瞬間に菅凉子はじめ周囲の官僚、警備員の顔が一瞬にして青ざめる。とはいえ俺は断じて人間バーベキューがしたかったわけではない。ほんのものの弾みだ。だが彼らの畏怖に満ちた異物を、化け物を、怪物を見るような眼差しは俺が生まれてこの方ずっと受けてきたものだった。


「おだてられて持ち上げられて舞い上がってた俺が馬鹿だったよ・・・やっぱり俺はヒーローなんかじゃない・・・お前らから見ればどこまでモンスターなんだ・・・」


 俺はとぼとぼと防衛省の施設を後にし外に出た。空をふと見ると青い空がどこまでも広がっている。後ろから官涼子が後を追って出てくる。その背後には恐る恐る様子を伺っている他の官僚の姿もちらほらと見える。


「力人くん・・・」


「俺はそもそもお前ら事なんてどうでもいいんだ。勝手にしろ」


 そう言い放つと俺は上空めがけて飛び立つ。後方から菅涼子の声が聞こえる。


「力人くん・・・待って・・・!」


 俺は構わず上昇していく。どんどん加速していく。雲を掻き分け弾丸よりロケットより早く上昇していく。そうやったいつの間にか俺の身体は大気圏を突き破っていくのだった。




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