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月面の星条旗

 月面で星条旗ははためいている。いや、ここに空気は無い。星条旗ははためいているというのは俺の思い違いかもしれない。しかし、ひとつ言えることは人類はここ月面に着陸しここに星条旗を立てたという事だ。実は人類が月面着陸したなんて話は嘘っぱちで本当は2001年宇宙の旅を監督したスタンリー・キューブリックが精巧なフェイクの月面着略の映像を撮ったなんて話もあるが俺の目の前で星条旗は確かに堂々とそびえている。それだけは確かだ。


「地球は青かった」


 人類初の有人宇宙飛行に成功したソ連の宇宙飛行士であったガガーリンはかつてこう言った。なるほど。確かに俺がいる月面からは宝石のように青く光り輝く地球が見える。諸君はおそらくこう思う事だろう。なぜ俺がこんな所にいるのだろうかと。幸いにだが俺は宇宙空間でも窒息する事なく活動出来るようだ。これから話す内容はあまり愉快なものではないだろう。いわゆるブラウザバックをされる可能性が高い。だがしかし、これを語らないではいては話が進まないだろう。


「何だよ・・・これ・・・」


 俺はかつてひかりの園があった地で呟いた。俺が育ったその施設はもう既に無かった。マザーが入院していたという病院を後にした俺はふとかつての地を訪れたのだが目の前に広がるのは新築マンションが建ち並ぶ光景だった。


「力人・・・?」


 ふと声が聞こえた方向に目をやるとそこには軽自動車に乗った友美の姿があった。彼女は同じくひかりの園で育った同士でもある。しばらく見ないうちに成長してすっかり女らしくなったものだ。


「友美・・・?一体どうなってるんだ・・・ひかりの園はどこに行ったんだ?」


「知らないの?移転したのよ。都市計画の一環でね」


「そんな・・・マザーはどうしたんだ・・・病院に行ってもいないし・・・」


 友美はしばしの沈黙のち口を開く。


「力人・・・知らないの?彼女は亡くなったのよ」


 

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