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星条旗に栄光あれ

 ここはアメリカとメキシコの国境付近。米軍の輸送機は私を乗せ深夜の空を密かに進んでいた。その標的は古ぼけた廃工場。ここが奴らの拠点となっているらしい。デスペリア、絶望の名を冠する通称で呼ばれる男は反米テロ組織のリーダーでありこれまで我がアメリカに対し非道なテロを繰り返してきた。


「Mr.スターズ。そろそろ降下地点です」


 輸送機に同乗している米兵が私に告げる。私の正式名称はMr.スターズ・アンド・ストライプス。米兵などは略して私をMr.スターズと呼ぶ。輸送機の中に中心に陣取る私をぐるりと囲むようにライフルを抱えヘルメット上に暗視ゴーグルを装備した数名の米兵が待機してる。


 この私、Mr.スターズ・アンド・ストライプスは星条旗を模した赤、青、白のカラーの鋼鉄のアーマーで全身を包んでいる。アーマーの目元から見える光景は私の目の前にヴィジョンとして鮮明に提示される。暗視モードもばっちりだ。


「動作補助装置をオフに」


「動作補助装置をオフにします」


 アーマーに搭載されたAIが機械音声で答える。


「おいおい。動作補助装置を切って大丈夫なのか?」


 本作戦を見守るスナイダーの声がアーマーに内蔵されたスピーカーから聞こえる。


「無いほうがかえって動きやすいのさ」


「降下地点です。Mr.スターズ。ご武運を」


 米兵が私に告げる。輸送機のハッチが開く。


「こんなボロい廃工場なんて空爆することが容易いがお前には何としても無傷で奪還したいものがあるからな。それに研究所から連れ去られた数名の優秀な研究者が人質になっている。彼らを無事に確保するのもお前の任務だ」


 スナイダーは語る。さて、そろそろ降下のタイミングだ。私は米兵達にあの決め台詞を投げかける。


「星条旗に栄光あれ」


「星条旗に栄光あれ!」


 米兵達は口々に叫ぶ。よろしい上出来だ。私は輸送機の開いたハッチから飛び降りる。私の腕には軽機関銃がしっかりと握られている。廃工場の屋根がどんどん近づいてくる。私はそのまま屋根を突き破り屋内に侵入する。


 轟音とともに上空から舞い降りてきた思わぬ客に対して早速デスペリアの手下であるテロリストどもがライフル片手に次々と集まってくる。奴らはこの私に一斉射撃を開始する。だがそれも鋼鉄のアーマーに阻まれ全てはじき返されるだけだ。弾が尽きたのか一斉射撃が止む。メジャーリーグの試合で言えば守備回が終わり今度はこちらの攻撃回というわけか。


 私の軽機関銃が火が噴きテロリストどもは次々と身体中を穴だらけにされて倒れていく。そんな風に敵を一掃していると左側面から思わぬ衝撃を受ける。敵が廃工場内に停車されていたジープに乗り込んで急発進し私の身体を轢いたのだった。忌々しいジープは私の身体にすっかり乗っかっている。やれやれ。私はありってたけの力を出しジープをひっくり返す。


 ジープは引っくり返り回転を続ける四輪を無様に上空に向けている。先ほどの衝撃で手にあった軽機関銃は彼方に吹っ飛ばされてしまった。よろしい。ここからは徒手空拳だ。私は引っくり返ったジープの運転席でもがく男に近づきその頭を思いきり踏み潰す。鋼鉄の脚の一撃を食らった彼の頭は赤い飛沫を上げ瞬時に潰れて無くなる。


 さらに私の後方から敵のテロリストの男がアサルトライフルを連射してくる。私の鋼鉄に包まれた身体をそれらを全て弾き返していく。怯むことなく彼に歩み寄りその顔面に容赦なく鋼鉄の拳を浴びせる。彼の顔と頭は血と脳髄が混じり合った飛沫と化し綺麗に無くなる。残った首の断面からは血の噴水が上がる。

 

「スタァァァァァァァァーーーーズ!!!!!」


 地の底から響くような声が響き渡る。振り返るとそこには奴の姿があった。鋼鉄のマスクに鋼鉄のアーマー。その両脇からは血管がいく筋も浮き出た大木のごとく太い二の腕が伸びている。その両手には対戦車ライフルが二丁握られていた。随分と派手な歓迎だ。と思った矢先、二丁の対戦車ライフルの銃口は私に向けて一斉に火を噴いたのだった。

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