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合衆国最後の日 前編

 私はエドワード・バーンズ。アメリカ合衆国大統領だ。


「これからお見せする映像は大変ショッキングなものとなります」


 私の目の前でCIAのスタッフである青いスーツに身を包んだ金髪の30代男性であるジェイムズ・ムーアが語る。その左手の薬指には銀色に輝くエンゲージリングがはめられている。いつの日かわからないが彼に愛らしい妻子の写真を壁紙としたスマートフォンの画面を見せてもらった記憶があるがいつかはよく思い出せない。と思っていたが目の前にあるスクリーンに映像が映し出されるところで現実に引き戻される。この会議室にはアメリカ合衆国大統領である私と副大統領、国務長官、CIA長官とこの国の重鎮たちが勢揃いだ。スクリーンにやがて映像が映し出される。場所はどうやら日本らしい。背丈の小さい少年が石と砂以外は何もない広大な野外に仁王立ちしているようだ。その前はこれは日本の自衛隊だろうか装甲車、戦車、自走砲車と様々な装備が勢揃いだ。


「一斉発射を開始する!」


 この私でもこれくらいの日本語はすぐに理解出来る。少年の前に勢揃いした自衛隊は一斉に攻撃を開始する。凄まじい火花と硝煙のオンパレードが繰り広げられる。


「やめっ!」


 自衛隊の指揮官の呼び声と共に攻撃が止む、爆煙と硝煙とやがて消え去るとそこにあった何事もなかったように立っている先ほどの少年の姿だった。あの黒っぽいスーツは何だろうか?特殊なものなのだろうか。


「我々は何を見せられてるんだ?これは映画のプロモーションか何かかね?」


 私は湧き上がった疑問をスクリーン前のジェイムズ・ムーアに率直にぶつける。ムーアは自慢の鮮やかな金髪をかき上げなら答える。


「この映像をつぶさに解析しましたがいわゆるコンピューターグラフィックスなどによって加工された形跡は見られないと結論が出ました」


「昨今ではAIによるフェイクも発達しているという。そういった可能性も考えられないのかね」


 国務長官が口を開く。ムーアはまたも額に垂れ下がった前髪をかき上げながら答える。


「そういった可能性も考慮して解析しましたがこの映像に関しては人工的なものとは考えられない。100

%リアルなものとしか考えられないとのことでした」


「何てことだ・・・」


 国務長官は愚痴る。彼は軍人として活躍しここまでのし上がった苦労人だ。黒人特有の短いヘアカットに黒縁眼鏡がトレードマークだ。その頭にも白髪が目立ち始めてる。この様子だとその老化は一気な加速しそうな勢いで頭を抱えていた。


 私の目の前のスクリーンには中国海軍が彼、つまりゴッドウィンドと接敵した時の映像が映し出されていた。撮影者は中国海軍の兵がスマートフォンでこっそりと撮影したものでCIAが極秘に入手したものらしい。映像の中では先ほど自衛隊の総攻撃を受けても何事もなかった少年が戦艦内に侵入し中国海軍の兵たちが発砲した銃弾を全身で受けても平気な様子で歩を進める姿が鮮明に撮影されていた。これもCGやAIによるフェイク映像ではないという。


 彼の名はゴッドウィンド。今ではこの世界において名を知らぬ者はいないだろう。国務長官はシミュレーションの結果において我が米軍が総力を持ってしても彼を倒す事は不可能だろうと結論付けた。


「流石に核攻撃であればゴッドウィンドも耐えられないのではないか?」


 と私は国務長官にたずねたことがある。たずねられた国務長官は十秒か二十秒か押し黙って考え込んだのちにこう答えた。


「それもどうか。何とも言えないというのが正直なところでありますな」




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