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真冬の夜の太陽

「ゴッドウィンド、アマテラス、韋駄天の御三名方にはご足労いただき誠に感謝致します」


 ヘリで駆けつけてきた自衛隊のお偉いさんが俺らに語りかける。ここは被災地の中学の校庭に自衛隊が即席で建てたテントの中だ。俺とアマテラスと韋駄天はアホみたく突っ立ってこの自衛隊のお偉いさんのおっさんの言うことを聞いている。俺はかったるくなって隣に立っている韋駄天に語りかける。


「俺は思うんだがアベンジャーズがいくら大ヒットしたからといって昨今のヒーローをとにかく何でもクロスオーバーさせるのはどうかと思うぜ。バットマンといいロボコップといいヒーローってのは孤独にストイックに戦う姿が美しいんだ。ここは俺一人でも良かったんじゃないか。超人三人が勢揃いで出動ってのは大袈裟すぎやしないか?」


「あんた自分がストイックだとでも?」


 韋駄天が俺に対し憎まれ口を叩く。


「二人とも。今はヒーロー映画について語り合ってる場合じゃない。今も助けを待ってる人たちがいる」


 アマテラスが制する。この女、こういうとこは生真面目なんだよな。


「そうね。照美の言う通りだわ」


 韋駄天が返す。女同士、仲良しってわけか。俺は肩身が少々狭い。


「皆さんは72時間の壁という言葉を聞いたことがあるでしょうか?」


「ええ、知ってるわ」


 韋駄天が年の功で答える。そもそもこいつは科学者だった。自衛隊のお偉いさんのおっさんはさらに続ける。


「災害発生時の人命救助においてまだ生存者が生きている可能性が高い72時間以内に見つけ出し救出する。この事が非常に重要となります。現在そのリミットは残り70時間ほどとなります。御三名方にはこの時間内に出来うる限りの被災者を救出して頂きたい。あいにく今は真冬で気温も低く真夜中でありますから被災者の方の生命維持には厳しい状況でありますし救出作業も困難を伴う事でしょう」


「ということは逆に気温を高くしてこの一帯を温かくすれば良いのですか?」


 アマテラスが口を開く。自衛隊のおっさんが予想外の返答に戸惑いながらも答える。


「ええ。確かにそうかもしれませんが。そんなこと・・・」


「私なら出来ます」


 アマテラスはきっぱりとした口調で答えた。




 俺らの頭上で太陽人間であるアマテラスが空高くに浮かびながらまばゆいオレンジ色に発光している。おかげでこの地区一帯が春日和のごとくポカポカ陽気だ。それでなくアマテラスはこの地区一帯を夜から昼に変えた。空は暗い色なのに地上波は昼の陽気を呈してる。何を言ってるのかわからないが目の前の紛れもない現実だ。


「おお・・・これなら被災者の方々の生存率も上がるし我々も救出作業がやりやすくなる」


 自衛隊のおっさんは天空のアマテラスを眺めながら感嘆する。


「流石ね。彼女自身が小さな太陽だもの」


 韋駄天も空を眺めながら言う。


「さてと。私らも仕事するわよ。あんた、私をおんぶしなさい」


 韋駄天が俺の背中にまたがる。俺の背中に彼女の豊かな胸が当たる・・・なんてラッキースケベは無い。合法ロリのこいつに胸など無い。


「飛んで!」


「はいはい。お姫様・・・」


 俺はため息混じりに韋駄天を背に空高く飛翔して行く。


「いい!タイムリミットはあと約70時間!あんたのその常人離れした聴覚で埋まってる被災者を助け出すの!彼らの命はあんたにかかってる!」


「気が重いなあ・・・」


 俺の脳裏にあるのはそういえば住処を出るときにいじくり上手の片井さんの4期アニメ第1話をリアルタイムで見ることは叶わなかったか録画設定をしてきたのかうまく思い出せないということだった。


 




 

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