98.最強とは自由な事だ!
元勇者が帰った後、俺は地竜を探して倒したのだがフーコが帰って来ないので待っていた。
『そういえばリュウジだっけか、あのTシャツ似合ってないって言うの忘れてたわ』
俺は暇潰しに石を拾って魔物を的にして遊んでいるとフーコが帰って来た。
『危なっ!?何で石投げてくるの!?』
『いや、避けられるのかな?とか思ってさ』
するとフーコの背後の岩山が凄い音と共に崩れる。
『おい!人に投げて良い威力じゃないよな?避けれなかったら死んでたよね!』
『お前が強いなら仰け反るぐらいじゃね?』
『ヤバそうな魔物の死体を沢山見たんだけど、あれは何?』
『暇潰しに石当てて遊んでただけだよ、お前にも同じ威力で投げたんだから楽勝だろ?』
『女の子に危害は加えないんじゃ無かったの?』
『はっはっはっ!お前を女と認めたら世界中の女性に失礼だろ』
『お前が私に失礼だわ!一発殴らせろ!』
フーコは拳を俺に向けて放ってくるが欠伸が出そうなぐらい遅いので余裕で躱す。
『避けるだけだと暇だから次から爪剥がして良い?』
『怖えよ!避けずに当たれば良いだろ!』
『お前に殴られるのはなぁ、なんか嫌なんだよね』
『くっそぉ!強くなりてぇ!』
『そんな貴方にこの薬は如何ですか?』
突然声を掛けられ振り向くと紳士服の老人が居た。
『うおっ!?ラッキー!突然紳士が現れたぞ!』
『気を付けろよ、紳士服の下に女性用の下着を履いてるかもしれんぞ』
『むむっ!それはヤバいな、お爺さんは何者だ!』
『私は貴方が強くなりたいと言っていたので力になれればと参上した次第です』
『それがこの薬なの?』
フーコは老人から赤い錠剤を受け取ると掌で転がして眺めている。
『その通りですよ、お嬢さん、その薬を飲めばすぐに強くなれますよ?』
『ふふふ、ラッキー!今から強くなるから見てなさい!』
『その前に良いか?爺さんは何で俺の命を狙ってんだ?』
その瞬間空気が凍りつく、老人は笑みを浮かべこちらを向く。
『おや、元勇者から聞いたのですか?本当につまらない男ですね』
『肯定って事で良いの?今際の際だぞ?考えて喋れよ』
俺が殺気を放つとフーコは怯え、老人は目を見開き驚いていた。
『はははっ!流石はライク様のお気に入りですね!貴方がどれほどか少し遊んであげましょう!』
『後悔すんなよ、爺さんよぉ!』
俺は爺さんの顔面に拳を叩き込むが手応えを感じなかった。
『フーコ!お前も攻撃してみろ!』
『老人に暴力は振るいたくないけど敵みたいだししょうがないよね』
そう言いつつもフーコはナイフで老人を襲うが当たっているのに傷付かない。
『あれぇ!?何か手応え無いんだけど!』
『幻覚か?いや、なんか違うな・・・』
『私は分かったわよ!無駄の無い動きですり抜けてる様になるのよ!』
『そういうのは最強である俺の技だぞ!』
俺は爺さんに攻撃し続けるが手応えを感じることは無い。
『この程度ですか・・・最強にして頂いたと聞いていたのですが期待外れですね』
『ぷぷっ!ラッキー期待外れだって!』
『手加減してれば調子に乗りやがって!6割ぐらい出すから覚悟しろよ、お前達』
『私は関係無いよね?お爺さん、逃げて良い?』
フーコが老人の方を向くと老人の上半身が無くなっていた。その後すぐにフーコの目の前に拳が見え意識が途絶えた。
『ふぅ、スッキリした!定期的に何かしら殴った方が良いな』
俺は上半身の無い死体をそのままに地下都市へと向かう事にした。
『反応すら出来ないとは・・・ライク様はあの子供を相当気に入ってらっしゃるみたいですね、面白くなってきましたね』
老人は瞬時に身体を治し服に付いた土を払いながら立ち上がると姿を消した。
『うえっ!?私寝てた!?あれ?何で寝てたんだっけ?まぁいっか!お腹減ったから何か食べに行くべ』
老人が消えて少し後に復活したフーコは色々な記憶を無くして食事をしに地下都市へと向かったのだった。
場面は変わり避難所になっているギルド内ではクリスとユーリが避難していた。
『何で私に戦わせないのよ!あのギルマスは馬鹿なのかしら!』
『まぁまぁ、落ち着いて下さい、ギルマスは年配の方や女子供の安全を優先したんですよ』
『分かってるけど私は戦いたいの!』
『じゃあ外に行きます?今はギルマスも出払っていますから楽に出れるかと思います』
『流石クリス!話が分かるわね!早く行きましょ!』
だがユーリ達は出口へと向かうと男に止められる。
『外は危険だから出られないよ』
『私達は強いから大丈夫よ』
『そんな事言う奴が死んで行くのを何度も見たよ、大人しくしてなさい、化物を倒している赤い髪の女性も敵が味方か分からないしな』
多分フレイアだとユーリ達は目配せして頷く。
『その女性は私達の仲間よ、合流したいから外に出ても良いでしょ?』
『俺も依頼でね、外へは出せないんだよ、ごめんな』
ユーリが行動を起こそうとするとクリスが止める。
『分かりました、我儘言ってすみません』
クリスはユーリの手を引き奥へと戻る。
『何で止めるのよ?あの男倒して出て行けば良いでしょ?』
『その後ここを護る人が居なくなりますよ?』
『ごめん、そこまで考えて無かったわ』
『気にしないで良いですよ、それで僕に良い案があるんですが』
『なになに?』
クリスから耳打ちされたユーリはニヤリと笑い頷くのだった。




