59.最強とは遭難しても気にしない事だ!
俺とカインは無事ダンジョンを脱出するとそこは一面氷の世界だった。
『おおおおやじ、さささ寒く、ななな無いんですか?』
『俺は寒く無いけどしょうがないから神より授かった学ランを羽織らせてやろう』
俺は上着を脱ぎカインに羽織らせるとカインの震えが止まる。
『なんですかこの服!?羽織っただけで寒さが消えました!親父、ありがとうございます!』
『まぁ、お前が動けないと帰り道とか分からんし』
『親父?ここにはまともな奴は近寄らない場所ですよ?俺が道を知ってる訳無いじゃないですか』
『じゃあ俺達は遭難したって事?俺は遭難した事無いからどうしたら良いか分かんないんだけど』
『俺もです!あっはっはっ!』
『次笑ったら殴るからな?聖都に辿り着く事だけ考えろ』
俺の言葉にカインは真剣な顔に戻り考えを口にし始める。
『親父がジャンプして聖都を見つけるとかどうですか?方角が分かれば何とかなるかと思います』
『お前は頭が良いな、お前が盗賊の頭やってた方が良かったんじゃね?』
『俺は人の上に立てる程人間出来てないんですよ、では親父頼めますか?』
俺はカインから少し離れて思い切り真上に飛んだ、地面の氷にヒビが入ったが上手く飛べたと思う。遠くを見る為目を凝らすと離れた場所で大きな海蛇と角の生えた大きな怪物が喧嘩していたり、何故か屋台の様な物が見えた、そしてそのまま着地すると落下地点の氷の地面が広範囲で砕け俺はびしょ濡れでカインの元へ戻った。
『光が強くてあまり遠くまでは見えなかった』
『高い山とかは見えませんでしたか?山に登れば周りが見渡せるんですが』
『あっちの方に大きな何かが見えたけど・・・行っても大丈夫なのかが分からん』
『どう言う意味ですか親父?』
『いやぁ、あっちの方でデカい蛇とデカい怪物が喧嘩してたんだよ』
『どんな奴ですか?親父でも倒せない感じでしたら近寄りたく無いんですが』
『まともな場所なら勝てると思うけど地面の氷は分厚いけど下が水だろ?引き摺り込まれたら勝てるか分からん』
『遠回りしても遭遇する可能性があるのでかなりの賭けになりますね』
俺達はどうするか話し合っているとカインの腹が鳴る。
『ギュウタロウの肉がまだ残ってるから食うか?お前の魔法で焼いて食おうぜ』
『あれ?あの時肉は全部食った気がしたんですが』
俺はカインから目を逸らしカインのナイフで肉を切る、
こっそりカルビの部分を収納していたとは言えない。
『お前達と別れた後倒したんだよ、気にせず食え』
『そうでしたか、ありがたく頂きます』
その後カインの魔力が少なくて肉を3枚程焼くと魔力切れを起こしていた、結局は俺が焼く事になった。
『ちっ!つっかえねぇなぁ!塊ならまだしも切り分けた肉3枚しか焼けないとかゴブリンにも勝てんわ!』
『頑張ったんですからそんなに言わんでくださいよぉ』
『ほらっ、焼けたから先に食って良い案考えておけ!
言っておくが案の出せないお前は俺の廃棄すべきゴミになるからな?』
『親父ぃ見捨てないで下さいよぉ、生きて帰れたら女を紹介しますからぁ』
『女だと・・・絶対紹介しろよな?嘘だったら生きて帰った事を後悔させるからな』
『大丈夫ですよ!良い女なんで絶対紹介しますよ!』
そして俺はカインに気になっていた事を聞く事にした。
『カインの後ろの奴は友達か?』
カインが後ろを見るとそこには白毛のムッ◯みたいな奴が立っていた。
『うぉう!?何だコイツ!?魔物か!?』
『魔物なら襲ってくるんじゃないか?原住民とかだろ?腹減ってんなら一瞬に食うか?』
『ちょっ!?親父、流石に敵か味方も分からん奴呼ばないで下さいよ!ほらぁ俺の隣に座っちゃったぁ』
『良い奴かもしれないだろっ!そんな事言ってるとご飯食べさせないからねっ!』
『母ちゃんみたいな事言わないで下さいよ!襲われたらどうするんですか!?』
俺は少し考え天才的な答えが閃く。
『カインが毛むくじゃらになって戦力が上がるんじゃないか?』
『それって俺死んでますよね?コイツが俺になり変わってますよね?』
『ベス達には進化したとか言っておくから安心しろ』
『人間は進化しませんよぉ!もぉやだぁ、この人俺を見捨てる気だぁ!』
カインは寝転がり手足をバタバタして好き勝手言い始めた。
『大声出すとさっき言った化物とかやってくるかもしれないぞ?』
『どうせ死ぬなら道連れだぁ!化物共、獲物がここにいるぞぉ、かかって来いや!』
『お前なぁ、ユーリ達なら最初は文句言うけどなんだかんだで付き合ってくれるんだぞ』
『アンタの仲間は全員頭おかしいんですよ!食ってばかりの馬鹿女に戦闘狂のまな板娘、最後はサイコパスのリーダーだろうが!』
『誰がサイコパスだ、この野郎!優しくしてたらつけ上がりやがって!』
すると食事を終えた毛むくじゃらがこちらを向いて器を置く。
『馳走になった、賑やかな食事も悪くはないな』
俺とカインは毛むくじゃらの声に動きが止まる、そして俺とカインは目を合わせて
『『ぎょえぇぇ!?シャベッタァァァ!?』』
俺達の叫びは静かな氷の世界に響き渡った。




