31.最強とはマリーの事だ! その1
部屋に殺気が立ち込め俺以外は冷や汗が出る。
『ラッキーさん、落ち着いて下さい。犯人は特定して尾行も付けています』
俺の肩に手を置いていたエイラさんの言葉に少し落ち着きを取り戻し話を聞く事にする。
『犯人は誰なんですか?』
『第2王子のドジフミス兄上です。仮面の男は兄上の世話役のキレジーでしたので糾弾される前に逃亡を測ったのでしょう、マリーちゃんはお父様にも可愛がられていたので人質にされたのかと』
国王のせいじゃねぇか!とかは思っても口には出さない俺も成長したのだろう。後で殴る事にしよう。
『それって陛下のせいじゃん!』
クレアさんは声に出しやがった、正直者なんだろう。
アリス様は顔を真っ赤にして謝罪してきたが可愛かったので許した。
『それで馬鹿な国王はマリー捜索に全軍を出そうとしたので宰相が力尽くで止め、今は宰相の指揮の元捜索にあたっています。』
宰相さんなら大丈夫そうだが俺がこの件に参加出来ない理由が分からない。
『ラッキーさんの参加させない理由はマリーちゃんが怪我をしていた場合、兄上を殺害する可能性があるからです。王族は王族で裁かないと罪に問われる場合がありますので・・・』
面倒くさい話だな、マリーを傷付けたら母ちゃん直伝のお仕置きをしてやるのに。
『そういえばハンスはどうしたの?』
『ハンスさんはロメオさんと必死にマリーさんを探してますよ?王国崩壊の危機だとか言ってましたよ』
『そんなに大事なの?実はマリーには英雄の血が流れてるとか?』
『はぁ・・・貴方が暴れると思っただけですよ』
俺の発言にエイラさんは呆れていた。
〜その頃マリーはというと〜
『くそっくそっ!何でこの俺が追われなければならない!おいっ!さっさとついて来い!』
『ドジフミス様?そろそろ帰ろ?みんな心配してるよ?』
マリーは王子を城に帰ろうと説得する。
『うるさいっ!俺はもう終わりだ!城に戻れば殺される!くそっ!』
『悪い事したなら私も陛下に謝るから一緒に帰ろ?
家族と離れると寂しくて悲しくなるよ?』
マリーは俯き涙を堪える。それを見たドジフミスも何かを思い出したのか俯く。
『俺だって・・・皆に認められる為に頑張ったがどいつもこいつも兄上ばかり贔屓しやがる!誰も俺のことを見てくれない!』
ドジフミスは泣きながら叫ぶ。
『ドジフミス様、私のお母さんとお父さんは最後にいつでも私をいつも見守ってるって言ってたよ?ドジフミス様のお父さんとお母さんもちゃんと見てくれてるよ!』
『そんなわけ無い!褒めてくれた事すら無いんだぞ!』
『ドジフミス様はお父さん達といっぱいお話しないとダメだよ!おやこのこーりゅー?をしないと仲良しじゃ無くなるんだよ!』
『親子の交流か・・・最近は挨拶すら碌にしてなかったな・・・』
ドジフミスは下向き拳を強く握る。その手をマリーが包む様に握るとドジフミスの手を引く。
『ドジフミス様、陛下の所に行こう!それでちゃんとお話して!』
『ま、待て!少し時間をくれ!こ、心の準備がだな!』
ドジフミスを無視してマリーは手を引きお城へと向かうのだった。
〜その頃王都では〜
『おーい!マリーちゃーん!どこいるんだー!』
『ハンス君?そんな大声で叫ぶと王子に悟られますよ?』
ハンスとロメオは王都の裏道等をくまなく探していた。
『大体何をそんなに焦っているのですか?人質は幼いメイドですよ?心配ではありますがし過ぎでは?』
『マリーちゃんはラッキーの大事な身内だ!あいつはマリーちゃんを傷付けたら王様だろうが許さんとか言ってたんだぞ!洒落にならん!』
『はぁ、王子もやってくれましたね、宰相は各団長にラッキー君を敵に回すなと厳命を受けているのに・・・』
するとハンス達に近い地下水路の扉が開く、ハンス達は即座に剣を抜き構える。そこから顔を出したのはマリーだった。
『あっ!やっぱりハンスさんだ!』
『マリーちゃん!?無事だったか!』
マリーが出てくると後からドジフミスも姿を現す。
『ドジフミス様!?マリーさんは離れて下さい!』
『待って!ハンスさん達にお願いがあるの!』
マリーは精一杯ハンス達に事情を説明し王様と話をしたいとお願いした。
『うーん、マリーちゃん達を兵士達に見つからずに陛下の元に連れて行くの?ロメオはできると思う?』
『団長に連絡を取れればあるいはですかね、宰相殿がいれば確実に行けるかと』
『お前達、宰相閣下からの伝言だ。この道を辿り城へと帰れだそうだ』
背後から現れた黒装束の男はロメオに紙を渡すと消えて行った。
『脱出用の隠し通路があるみたいですね、捜索にあたっている兵士達も減っているみたいですし行きましょう』
宰相はすでに手を回していたらしい、恐ろしい人だとハンス達は思った。そしてハンス達は指示通りに城へと戻るのであった。
〜その頃宰相は〜
『今からドジフミス様がマリーさんといらっしゃいますのでしっかり話をしないとマリーさんに嫌われますからね?』
『マリーちゃんは無事だったか!しかしドジフミスとはどう接して良いか分からんのだ・・・』
『マリーさんと同じ様に接してあげらば良いのです。お飾りの王でもそれぐらいは出来るでしょ?』
『お前はもっと俺に優しくしてくれても良くない?俺もグレちゃうよ?』
『その時はしっかり折檻致しますので安心して下さい』
マリー達を待つ2人は仲良く会話していたのだった。




