19.最強とは不測の事態にも対応する事だ!
1時間後、手帳を読んでいるとユーリを先頭に全員がやって来た。集合しユーリは俺を見ると急に怒り出した。
『アンタ準備して無いじゃない!?ピクニックに行くんじゃ無いんだからね!』
『俺、調査に必要な物知らないし』
俺の返答に更に怒り出しそうなユーリにハンスが声を掛ける。
『ユーリちゃん、コイツのは俺が持って来てるから大丈夫だよ、コイツはこういう奴だから』
『ハンスは良い嫁さんになるな、ユーリも見習えよ』
『テメェ!俺は男だ!嫁になれるわけねぇだろ!!!』
『だ、誰がアンタのお嫁さん何かになるもんですか!』
『はっはっはっ!面白い調査になりそうだなロメオ』
『賑やかな調査になるのは保証しますよ、団長』
そして集合した俺達はユーリが熊に遭遇した場合へと向かった。
『この辺りでオニックマがあっちの方向から出て来たの』
ユーリは大きな山のある方を指差す。
『やはり山の方から来たのだな、全員周囲を警戒、調査をしつつ山まで向かう』
メイリンさんが指示を出すと俺以外の奴等が警戒する。
『なぁなぁ、ハンス、警戒ってどうやんの?』
『お前は熊とか出た場合倒してくれりゃ問題無いんじゃないか?』
ハンスは適当に答える。
『アンタは気になる物とか見つけたら言えば良いのよ』
『え?そんなんで良いの?じゃあ山の頂上辺りにドラゴンがいるぞ』
俺の発言にハンスとユーリは唾を吹き出し、メイリンさんとロメオを顔を強張らせる。
『ラッキー君、今のは冗談では無く本当の事かい?』
『ん?お前達見えないの?あそこの崖の上で赤いのが寝てるぞ』
メイリンさんは深呼吸して指示を出す。
『調査は終了だ、紅竜は気性が荒い近づくのは危険だ、ラッキー君ここから竜の大きさは分かるか?』
『うーん、難しいけど・・・家よりデカいと思う』
『では、君達は冒険者ギルドへ報告を、私達は陛下に報告し冒険者ギルドと連携出来る様に話しておこう』
『なぁハンス、ドラゴンって人の寄り付かない場所とかにいるんじゃねぇの?』
『何言ってんだ?ドラゴンがいるから人が寄り付かなくなるんだよ、ドラゴンは弱者の都合なんて考えてねぇんだよ』
『なるほど、それでさぁ俺が今から近くでドラゴン見たいって言ったら怒られるかな?』
『はぁ!?アンタ今近くでドラゴンが見たいって言った!?馬っ鹿じゃないの?ドラゴンに手を出して滅んだ国だってあるんだから軽率な行動は控えなさいよね!』
俺の言葉にユーリが脛を蹴りながら怒りだす。
『分かったから脛蹴るのやめてくれる?女子に蹴られると心にダメージ負うんだよね』
『お〜い、お前達〜イチャついてないで帰るぞ〜!』
『は、ハンスさん!?い、イチャついてなんていませんから!』
『ハンス!アレがイチャイチャするって事なのか!?・・・俺初めて女の子とイチャイチャしたぞ!』
俺が感動していると後ろから茂みが動く音がする。俺とユーリが振り向くとそこには黒いローブに身を包んだ人が立ちブツブツと何か言っている。すると俺とユーリの足元に魔法陣が浮かびあがる。
『っ!?ヤバい!ラッキー手を!』
ユーリは咄嗟に俺に手を伸ばし俺はその手を掴む。そして視界が歪むと知らない場所にいた。
『何だここ?どっかの屋敷か?おいユーリ大丈夫か?』
『やられた・・・転移魔法よ、こんな時に最悪の状況ね、とりあえず外に出て王都に戻らないと』
ユーリは外に出れそうな扉を開けようとドアノブに手をやるが不思議な力で弾かれた。
『いたっ!これって結界!?嘘でしょ!?閉じ込められてる!?』
ユーリの表情が曇り始める。
『じゃあ他の方法探そうぜ、ここに居ても意味無さそうだし』
『アンタは閉じ込められてるのに冷静ね、怖くないの?』
『慌ててビビってたら出られるならそうするけど?』
俺は屋敷の奥に進む扉を開けてユーリを見る。
『待ちなさいよ!わ、分かったわよ!行けば良いんでしょ!』
俺とユーリは屋敷の1階を調べ終え2階へ向かう。
『1階には何もねぇし、2階も何もなかったら詰んでんな』
『人やら獣の骨が散乱してたでしょ!何かいる可能性があるんだから警戒しなさいよね!』
『はいはい、おっ?この部屋デカい棺があるぞ?』
ユーリは棺を見ると顔が真っ青になり震えだす。
『う、嘘・・・こ、ここって・・・し、死の館?』
俺はお宝が入っているかもと棺を開けると男が入っていた。
『おいユーリ、何かおっさんが入ってるんだけど、出る方法知ってんじゃね?』
俺がユーリに声を掛けると棺の男が目を開き俺の腹に拳を叩き込んできた。
『いてぇ!!何しやがる!』
俺は棺の男に頭突きする。棺の男の頭は潰れ、棺も壊れる。
『ユーリ!俺やっちまった!正当防衛だって証言してくれ!』
俺はユーリに駆け寄りお願いしているとユーリは棺の方を指差し怯えている。振り向くと棺の男が立っていた。
『私の攻撃を受けて反撃してくるとはな』
『うぉ!?生きてた!?焦らせんなよな、おっさん』
『いや、焦ったのは私の方なんだが・・・まぁいい、貴様達ここから生きて帰れると思うなよ?』
棺の男の纏う空気が変わる。俺はユーリを庇う様に立ち身構える。
『ユーリ、退がっててくれ、頭潰して生きてる奴と戦うの初めてだから』
『分かった、あとアイツは死の館の吸血鬼で討伐依頼も出てるから殺しても問題無いわ』
『吸血鬼って美少女だと思ってたのに、俺の夢を壊しやがったアイツは許さん!』
俺は男の懐に入り思い切り腹を殴る。拳が当たる直前に男は黒い霧になる、俺の拳は男の後ろの壁に当たり屋敷の半分が衝撃で吹き飛んだ。
『あん?避けんじゃねぇよ!屋敷ぶっ壊れたじゃん』
『あんなもの喰らったら塵も残らんわ!あぁぁぁぁ、私の屋敷がぁぁぁぁ』
吸血鬼は半壊した屋敷を見て四つん這いになり嘆いていた。
『え?何かごめん、でもお前って冒険者とか殺してるんだろ?』
『私は血は吸うが殺しはした事無いぞ!殺したら冒険者共に狙われるだろう』
俺は話が噛み合わないので話を聞く事にした。
『じゃあ俺達をここに転移?させた奴は仲間じゃないのか?』
『最近急に屋敷に侵入してくる奴が増えたのは転移で誰かが送って来てたのか!お前達は最初屋敷の何処にいた?そこへ連れて行け!』
『お、おう後俺の仲間が無事か確認させてくれ』
俺は最初いた所に案内すると吸血鬼は床などを調べ始める。俺はユーリを探しに行こうとするとユーリが階段から降りて来た。
『ラッキー!いきなり屋敷が爆発したんだけど大丈夫だったの?!』
『それ俺がやったから大丈夫、それで色々あってさぁ』
俺は吸血鬼から聞いた事をユーリに伝える。
『つまり吸血鬼はあの黒いローブの奴に罪を着せられてた訳ね』
『でもアンタ、生きては返さんとか言ってたじゃない』
吸血鬼はそれを聞くと顔を赤らめモジモジしながら答える。
『だ、だって一度は言ってみたい台詞だったからつい』
『おっ!お前分かってるな!一度は言ってみたい台詞ってなかなか言うタイミングが無いんだよな〜』
『おお!分かってくれるか!友人達はそういうの分かってくれないのだ』
『黙れ馬鹿共!つまり今アンタは転移させるのに必要なマーキングを探してるのよね?』
『そうだ、もうマーキングは見つけたから望むなら犯人の目の前に転移させてやるが?』
吸血鬼はとんでもない事を言い出す。
『え?そんな事出来んの?お前凄い奴だな!』
『ふっふっふっ、我が友よ、私の事はファングと呼んでくれ!お前達を送った後は別の場所に引っ越すから安心しろ』
『じゃあお願いするわ、ラッキーも敵の目の前に出るから速攻で倒してよね』
『殺さない様努力するよ、じゃあファング頼む!』
『我が友ラッキーよ、またいつか会おう!』
すると俺とユーリの足元がひかり、ファングの前から姿が消えた。




