99.最強とは悪人に容赦しない事だ!
クリスの外に出る為の作戦は簡単だった。
『まさかクリスが幻覚魔法が使えるとはね』
『オーロラさんに役に立つ時があると教えて貰いました』
『攻撃魔法より先に幻覚魔法を教えるとはオーロラって恐ろしい竜よねぇ』
『オーロラさんの話は色々と勉強になりますよ?あっ!そこの路地に入りましょう』
『あれ?ユーリ達じゃん、元気だった?』
ユーリ達が路地に入るとラッキーが居た、ボコボコにされたガラの悪い男のおまけ付きで
『アンタはこの緊急時に何をやっているの?』
『コイツが俺に金を寄越せって言うから現実の厳しさを体に教えてやってたんだよ』
『その財布は?』
『授業料だな、よく見ろよコイツだって感動のあまり涙が止まってないだろ?』
『痛みで泣いてるんじゃ・・・』
『そんなわけ無いだろ?なぁ、感動で泣いてんだよな?』
ガラの悪い男はブンブンと頭を縦に振る。
『ほらな!もう行って良いぞ、次は無いからな』
『は、はひぃ!』
ガラの悪い男を見送るとユーリ達は状況を聞く事にする。
『それで今はどういう状況なんですか?』
『俺が知るわけ無いじゃん、俺はギルマス探してるだけだぞ?』
『ギルマス?何でよ?』
『金稼ぎにフーコと一緒に地竜を狩ったから報酬貰う為にだな』
『この状況を放置して?』
ユーリはあちこちの建物が崩れているのを見て問い掛ける。
『無償で助けるわけ無いだろ?前にも言ったが俺は勇者や英雄じゃないし憧れもしていない』
『人として助けようとは思わないの?』
『助けるべき人は助けるよ、目の前で子供が襲われてるとかな、だけど何もかもを救おうとは思わない』
『ラッキーさんは助ける人を選ぶんですか!?』
『クリスは悪人も助けるの?助けた後も悪事を働くかもしれないのに?それを責められてもクリスは変わらず助け続けるの?俺は人を助けるにも覚悟がいると思ってるんだ』
『覚悟・・・ですか?』
『そうだ、救った人間がやらかして責められても受け入れる覚悟だな、俺には無いから救う相手は選ぶ』
『まぁ、アンタの考え方も分かるけど冷めてるわねぇ』
『まぁね、駄目な父親を長年見てきた俺の考えだから押し付けるつもりも無いからクリスはクリスのしたい様にすれば良いよ』
『はい!僕は僕の正しいと思った事をやって行きたいと思います!』
『そんな考え方になる様な父親の方が私は気になるわね』
クリスはオーロラのお陰か少し男らしい顔付きになって来たのにユーリはダメダメだな
『そういえばフレイア達は何してんだ?』
『フレイアは化物と戦ってるみたい、オーロラは分からないわ』
『フレイアが人助け?フーコが賢くなるぐらい無いな』
『宴会の邪魔されて怒ってるんじゃない?』
『なるほど、それなら納得だな、それで?お前達は何してんの?路地のチンピラ達ならもう居ないと思うぞ?』
俺はチンピラ達から受け取った授業料を見せてあげた。
『アンタ・・・どんだけ巻き上げてるのよ』
『あの・・・僕達は一旦フレイアさんと合流するつもりなんですがラッキーさんはどうしますか?』
『俺はギルマス探しながら路地探索だな、意外に稼げるしな、おい、クリス屈んだ方が良いぞ』
『え?』
建物を壊して現れた大きな拳がクリスに迫るが動かないクリスにユーリが駆け寄り助ける。
『子供!?おい!ここは危険だ!さっさと逃げろ!』
すると戦っていたと思われるドワーフに声を掛けられた。
『コイツが危険な化物なの?あの薬飲んでたらフーコもこうなってたのか』
『ちょっ!?アンタ犯人に会ったの!?』
『ついさっきだな、荒野に下半身があると思うぞ?』
『殺したの?』
『まぁ、俺を殺そうとしてたから仕方無くね』
『そういえば、フーコちゃんは何処にいるの?』
『強くなって調子に乗ってたから成敗したから荒野にいるんじゃね?』
『フーコちゃん強くなったの!?』
ユーリはフーコが強くなった事に食い付く、目が怖いので黙って頷く。
『何ですぐに強くなれんのよ!』
会話中でも気にせず攻撃を仕掛けてくる化物が鬱陶しいので一撃で粉砕する。
『そんな事言われてもなぁ・・・何だ?気持ち悪い気配が近付いて来るぞ!』
そして気持ち悪い気配が姿を現す、それは見た目は強そうに見えないマネキンの様な姿だったが気配で強さを感じられた。
『最終形態のフリー◯様か?しかし気持ち悪いなお前』
ユーリ達の様子を見るとユーリは震えながらも構えており、クリスは恐怖に顔を歪めていた。
『お前達は逃げろ!俺が時間を稼ぐ!』
ギルマスは俺たちを逃す為にマネキンに攻撃を仕掛けるがギルマスの持つ斧はマネキンを傷付けられずに砕ける。
『なっ!?俺の斧はオリハルコンで作ったのだぞ!?』
ギルマスは驚いているがマネキンはそんな事をお構い無しで拳をギルマスの腹に打ち込んだ、ギルマスは血を吐き吹き飛ぶと建物をいくつも突き破って行った。
『凄い飛んだな!お前達は逃げないで良いの?アレの相手だと流石に守れる保証無いぞ?』
俺の発言にユーリ達に緊張がはしる、ラッキーがこの様な事を言う事が無かったからだ。
『アンタだけなら勝てるの・・・?』
『さあ?そもそもアレは殺せるのか?何も知らないのに出来るなんて言えないだろ』
『いない方が可能性があるのなら私達はフレイアを探しに行くわ、死ぬんじゃないわよ』
『はいはい、さっさと行けよ』
ユーリは舌打ちをしてクリスを連れて離れて行った。
『行ったな、喋らないのはその姿が恥ずかしいからか?フーコ』
『何故分かった!?・・・すみませんが助けてくれませんか?』
俺は溜め息を吐きフーコに近付いて行く、拳を硬く握り締めながら・・・




