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”ASSASSIN”—異能組織暗殺者取締部—  作者: 深園青葉
第4章
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July Story2

本拠地に集まったメンバーたちの、夏の日の、つかの間の日常。

「蒼太、遅いねー」


 葵が、時計を見上げて、声を上げた。


「用事って、何なんだろ?」


「それは、来てから聞けばいいんじゃないの?ほら、こっち、手伝って」


 優樹菜は呼びかけながら、フラットファイルを机に置いた。今から、葵と光が昨日殺し屋を捕まえた時に起こったことをまとめるのだ。


「やだー」


 葵が、ぶんぶんと、首を振った。


「───は?」


 優樹菜はそんな妹を、鋭い目付きで見つめた。


「だってー、暑いんだもーん。動きたくなーい。何もしたくなーい」


「何だらしないこと言ってんのよ……。祝日だけど集まろうって言い出したの、あんたでしょ」


「それはー、みんなに会いたかったからだよ。優樹菜に会いたいなんて思ってないもんねー」


「そんなのあたりまえでしょ。一緒に住んでるんだから」


 葵は何も言い返す言葉が見つからなくなったようで、ムッとふくれ面を優樹菜に向けた。


「私、やりますよ」


 始まりかけた姉妹の喧嘩を止めたのは、光の声だった。


「ああ、いいの、光ちゃん。この子、甘やかすとろくなことになんないから」


「ちょっと!それどういう意味!?」


 葵が勢いよく、優樹菜に向かって身を乗り出す。


 優樹菜は溜息を吐いた。妹は最近、自分の言うことに対し、「それどういう意味?」と言い返すことを覚えたのだ。


「そのまんま。───ほら、早くして。終わってからなら、ダラけたって文句言わないから」


 優樹菜の言葉に、葵は言い返してこなかった。


 葵の説明が足りないところは光が補い、それを聞いた優樹菜が文章にして起こしていく。


 そうして、作業を進めてから数分後、席を外していた翼が、部屋に帰ってきた。


「社長、外ですかね」


 翼に尋ねられ、優樹菜は、「えっ」と声を上げた。


「社長室に、いなかったの?」


「はい。用事があって行ってみたんですけど、ドアの鍵が閉まってて」


「鍵閉めてるってことは……、帰ってくるまでしばらくかかると思ったのかな」


 優樹菜が言うと、


「急ぎの用事なら、あたしが探してきてあげようか!?社長がいそうなところ、瞬間移動で行ってくるよ!」


葵が、ガバッと勢いよく立ち上がった。


さっきまでのやる気のなさは、一体何だっんだ───優樹菜が、呆れの目を向けようとした時、翼が、「ああ、いや」と苦笑を浮かべた。


「これ、渡したかっただけだから、大丈夫だよ」


 翼は手に持っていたノートを掲げて見せた。取調班が行った取り調べの内容を記帳したものだ。取り調べ終了の都度、新一が確認することになっている。確かに、それなら、新一が帰ってきてからでも十分に間に合う。


 翼の答えに、「そっかぁ……」と床に座り直した葵が、「ねえ、優樹菜ー」と、光の速さで話題を変えた。


「勇人、いつまで学校休むの?」


 優樹菜は毎日のようにされる質問に対し、「だから……」と、うんざりしているのを前面に声に出した。


「そんな正確に分かるものじゃないのよ。大体、後一週間間以内の予定だって」


「じゃあ、もう傷はふさがってるの?」


「私も、実際に見たわけじゃないから分からないけど、そうなんじゃない?」


 葵は「そっか」と返事をし、


「早く、来れるといいね」


 と、言った。


 優樹菜は、「そうだね」と頷きながら、葵の言葉通りになることを期待している自分に、気が付いた。


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