74,感謝を伝えましょう
「エルヴァン、君のお陰で命拾いしたよ。何か、御礼がしたい。俺に叶えられることであれば、何でもしよう。ささ、何が良い?」
感謝感激雨あられ!
創造神様に、エルヴァンと巡り会えたことに対する、感謝を!
マジで助かった。
今頃、死んでたかも……恐ろしや。
「別に、俺が助けたくて助けた訳だし、御礼は要らないよ。君が無傷で本当に良かった」
なんて良いやつなんだ!
エルヴァンは、神様か!
(ノーレ:いや、獣人でしょ。レオン、ゴブリンから逃げている最中に、頭のネジをどこかに置いてきたんじゃ……)
「いや、俺が御礼をしたいんだ。そうしないと、気が済まない。お願いだ。何か言ってくれ」
「しかし……」
「ほらほら」
「でも……」
そんな攻防が数分間続いたあと、結局エルヴァンが折れた。
「じゃあ……宿屋を紹介して欲しい」
控えめだな……お金とか、装備とか、じゃんじゃん願って良いのに。
宿屋を紹介か……この際、王都に家でも買ってやるか?←貴族の思考
でも、それだと、維持費がかかるしなぁ……エルヴァン、払えるかな?
うーん……それなら……
「エルヴァン、うちに来ないか?」
どうせ、シティハウスの部屋も大量に余ってるし。ロバート達も、命の恩人を拒むようなことはしないでしょ。
エルヴァンは、完全無料の宿屋を手に入れられるぞ!
「え、良いのか?」
「是非是非」
良いですよ、勿論!
むしろ、エルヴァンが来てくれると、こちらも嬉しいです!
同年代の友達ができたみたいで……嬉しい!
この世界に来てからまともに話した同年代の子って、
・ローズ・フォン・セリファリー辺境伯令嬢
・カイン・フォン・ラードン子爵令息
・リフチーノ侯爵家の一人息子
と、年は離れるけど、
・リアン・ウィル・クロシアム王太子殿下
・ローゼンマリー・フォン・モーリス公爵令嬢
ぐらいだろうか。
少ない……しかも全員貴族……王族もいるけど。
「でも、迷惑じゃ……」
「こらこら、遠慮するな。こういうのは、断わらなくて良いのー」
本当に控えめなんだから。
ぷん!
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
そうこなくちゃ!
歓迎します、エルヴァン君!
その後、焦げたゴブリンの死体を回収して、左耳を頂き、ギルドに討伐証明としてお届けした。
20体分渡すと、ギルドの受付のおねーさんの顔が引き攣ってた。曰く、
「スライムの上位種に加えて、ゴブリンの異常な迄の繁殖……それも、王都の周辺で……今までそんなこと、1回も…………高ランク冒険者に一度調査に向かってもらおうかしら………………あ、報酬です! これからも、頑張って下さい!(ニコッ)」
と、言っていた。
報酬、絶対に忘れてたよね?
ちなみに、報酬はエルヴァンと俺で山分けしました。




