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第4話 諦めますか? ▷YES ▷NO

6月30日 編集致しました。

 魔導書、読破!


 色々と難しい単語もあったけど、整理整理!



 1,魔法は基本誰でも行使できる。


 2,魔法を行使するには、大気中にある魔素を体内にある魔力で操る。


 3,詠唱には、単語(ワード)を入れる。



 基本はこれ!

 とりあえず、初級魔法から行使してみよう。生活魔法なら、誰でも行使できるらしいから、最初から少し難易度を上げてみよう。それに、生活魔法を使いこなす魔法使いよりも、初級魔法を3歳で行使できた魔法使い、の方が、インパクトがあるだろう?


 最初は何属性の魔法から行使してみようかな?

 火や水、風、土だと、属性の名前からして、後片付けが大変そうだし(火→周りが燃えそう、水→周りが水浸(みずびた)しになりそう、風→周りがぐちゃぐちゃになりそう、土→周りが土まみれになりそう)、光は、浄化や回復系の魔法だし……俺、怪我してないし、浄化が必要な者もいないしなぁ。

……闇属性の初級魔法を行使してみようかな。


 えーっと、闇属性の単語(ワード)


 漆黒,消滅


 だったから……対象は、目の前にある、椅子。これを木っ端微塵に……(怒られないかな?)


『この世の闇よ、目の前の物を()()に染め上げ()()させよ』


 厨二っぽくて、むず痒い……てか、恥ずかしい……

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 木っ端微塵になるどころか、うんともすんとも言わねぇ……なんでだ?

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 あっ!


 魔法の名前最後に入れるの忘れてた。


 なんだっけ?


 っていうか、魔導書に書いてあったっけ?

 《氷嵐アイス・ストローム》とか《地獄炎ヘル・フレア》とかは書いてあったけど……




「レオン様」


「うわぁ!」


 ビックリした……

 全く気配に気づかなかったよ。


「図書室にいらっしゃいましたか。奥様がお呼びですよ」


 セバスだ!


 足音してたっけ?


 って、それは置いといて、奥様…アリアーヌ母さんのことか。アリアーヌ母さんが、呼んでいる……怒られるのかな? 俺、怒られるようなことは何もしてな……いや、椅子を木っ端微塵にしようとしたな。


「うん! わかった! いますぐいくね」


椅子を木っ端微塵にしようとしたことは、バレていないはず……多分


「セバス様!」


「うわぁ!」


 本日二度目のビックリ。

 今度は誰?


「何事だ! レオン様が驚いていらっしゃるだろ!」


 うん。

 心臓が飛び出そうなぐらいに驚いた。

 セバス同様に、足音が全くしなかったんだもん。

 でもさ、セバス。君が入室したときも驚いたから、あんまりその方を叱らないであげて……


「至急、お耳に入れたいことが……」


 この人、若いけどセバスと同じ服着てるから、執事見習いかな?


「わかった。レオン様、お一人で奥様の部屋まで行けますかな?」


 えーっと、一応頭に地図は入れてるから……


「だいじょうぶだよ。おしごと? がんばってね」


「はい。では、レオン様。失礼致します」


 セバスと、執事見習いさんはそう言うと、図書室のドアから退出して行った。



 さて、とりあえず魔法の勉強はこの位にしておいて、アリアーヌ母さんの部屋に行きますか。



◇◇



 この屋敷(城?)って、広いんだよね。

 初めて来た人とか、絶対に迷うもん。


 ……あっ……


「まよった」


 俺、めっちゃ重要なことを一つ忘れてた。

 俺、極度の方向音痴だった!

 俺って、前世から極度の方向音痴で、地図が有っても道に迷ってたんだよね……

 何回、(あかつき)に呆れられたことか。


 ・・・・・・。


 今頃思い出してももう遅い。


 既に俺は道に迷っている。



 エルメント家の屋敷は、他国からの侵略があった時には砦としての役割も果たせるように、めっちゃ入り組んだ造りになってるんだよね。

 それはもう迷路の様に。

 長ーい廊下を歩き続けたら、行き止まりだったりするもん。


 家に行き止まりだよ?

 廊下の先に部屋が有る訳でもなく。



 で、そんなことより、ここどこ?


 3歳児の体だと、視線が低くて分かりづらい……



 とりあえず、来た道を戻ってみますか。



 確か、ついさっき角を右に曲がったばっかりだったよね。


「かど、かど……かど」


 角…………

 角………

 角……

 角…


 角……発見!!


 来る時に右に曲がったのだから、左に曲がれば良いんだよね。


「♪〜〜」


 鼻歌が自然と出てきちゃった。

 なんか、冒険してるみたい。


 さてと、左に曲がって……



 ・・・・・・



「貴様、吐け。エルメント邸に何をしに来た?」


「…………」


「ダンマリか……。地下牢にでも繋いでおくか。そこでじっくりと聞かせてもらうとしよう」



 俺さぁ、道に迷っただけだよね?


 なんか悪い事したかな?


 角を曲がった途端に、こんな状況を目にするとは夢にも思わなかったよ。



 血を流して、荒い息づかいをする男性と、その男性に短剣を突き付ける……俺付きメイドのメリル。


 あの美少女が、30歳位のおっさんに短剣を突き付ける場面って、どういうの?


 ここ通らないと戻れないんだけど……。


 見なかった事にして、スルーしたい…。


 これ、声掛けて良いのかな?


 いや、ダメだよなぁ。


 ・・・・・・。


 って、そうじゃ無くて、あのおっさん大丈夫かな?


 って、それでも無くて、あの温厚そうなメリルがメイド服に血を付けながら短剣を突き付けているのって、おかしくない?


 何かあったのかな?


「メ、メリル……?」


 声を掛けて良い状況か分からないけど、とりあえず掛けてみる。


 掛けないと戻れないし。


「レオン様……?」


 俺を見て、目を見開くメリル。

 驚いているメリルの顔って、初めて見たかも。


「どうしたの? だいじょうぶ? ちがついてるよ」


 メイド服に血って、ハロウィンの仮装行列を思い出すね……正直言って、ホラーかと思うぐらい怖い。


「レオン様? 何故ここにいらっしゃるのですか? (セバス様から連絡では、レオン様は奥様のお部屋にいらっしゃるのではなかったかしら?) 」


「まよっちゃったんだ」


「レオン様……」


 ……そんな、残念な物を見る様な目で見ないで……


 こう見えても、俺、結構精神がやられてるからさ……

 精神年齢21歳。この状態で道に迷って、今結構、恥ずかしかったりする。ハイ。



「隙あり!」


 うぉ?!


「レオンとか言ったか? この子供を殺せれたくなかったら、今すぐ武器を捨てろ!」


 おっさんの腕の中にすっぽりと収まっている、俺。首には、ナイフ。

 えっと……これは俺、さっきまで荒い息をしていたおっさんに人質として取られてる?


 普通に、ヤバくね?


 俺の二度目の人生3年間で終了?


 悲っ!


 一度目は18歳、2度目は3歳……足して21歳……


 ・・・・・・。


 短すぎるでしょ!?


 日本人の平均寿命って、俺が生きてた時は84歳位じゃなかったっけ?


 84……


 21……


 いや、どう考えてもおかしいでしょ!


 俺は2回分の人生を送っているんだから、168歳分位生きても良くね?


 落ち着けレオン……


 冷静になれ。


 俺はできる。


 この状況をどうにか抜け出して、俺は魔法を極めるんだ!


 ……それで、俺はこの状態をどうやって抜け出す?



 プランA : メリルが武器を捨てて、解放してもらう


 プランB : 助けを大声で呼ぶ


 プランC : メリルがこのおっさんを瞬殺する


 プランD : 自力で逃げる



 とりあえず、この4つ。

 脳内で一つずつシュミレーションをする。

 それぞれのプランの結末は、



 プランA : このおっさんが本当に解放してくれる

か、分からない(最悪死ぬ)⇒△


 プランB : 口は塞がれてないから実行は可能だが、声を出した途端に殺されると思う⇒✕


 プランC : メリルがこのおっさんを瞬殺できていたら、既に俺は人質には取られていないだろう(不可能)⇒✕


 プランD : おそらくこれが一番手っ取り早くて、生存率が高くて、実行が難しい。⇒△?



という感じかな?


 まず、プランBとCは却下。

 残りは、プランAとDだけど…………Aはこのおっさん次第だけど、Dは、俺次第だ。

 俺によって、生きるか死ぬかが決まる。前世では、トラックに轢かれて


 おっさんにあっさりと殺されるよりも、俺は自分で生きるか死ぬかを決めたい。


 だったら、プランDだな!

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 それで、俺はどうやって自力で逃げれば良いんだよ!?



 ニゲル……


 オレニゲル……


 ドウヤッテ?


 オレヨワイ……


 オレコワイ……


 オレムリョク……


 オレタタカエナイ……


 オレニゲレナイ……


 オレシヌ?


 オレワルイコトシテナイ……



 落ち着け俺!


 確かに、俺は無力だ。


 俺は強くない。


 でも、俺は……いくら弱くたって、逃げなければならない。


 生きるか死ぬか。


 俺は足掻いて、足掻いて、足掻いて、足掻いて…………それでもどうにもならなくなった時に、諦める。



 ソレデモコワイ。


 オレハシヌ。


 ココデシヌ。


 オレハナニモデキナイ。


 モウニゲルホウホウハナイ。


 アキラメル。


 ムリダ。



 あるじゃないか。


 この世界特有の物が。


 ナンダ?



【魔法】だ。



 マホウ……?


 オレハ、ツカッタコトガナイ。


 ウマレタバカリノオレ、マリョクリョウガスクナイ。


 マホウ、ツカエナイ。


 オレハシヌ……



 ああ。


 初級魔法は使えない。


 でも、生活魔法は使える。


 生活魔法は、詠唱さえ出来れば、誰でも行使できる。


 セイカツマホウ……


 ソンナノジャ、ニゲレナイ。


 セイカツマホウハ、ショボイ。


 オレハシヌ……



 3歳児で魔導書を読み、魔法を行使する子供が何処にいる?


 俺しかいないだろう?


 前世の知識を持つ俺しか。


 きっと、おっさんは予想して無いから、逃げれるよ。



 セイカツマホウノ、ナマエ、シラナイ。


 ノッテナカッタ。


 オレハシヌ……



 載ってなくても、聞いたことはあるよ。


 メリルやセバスが魔法を行使しているのを見たことがある。


 基本の生活魔法は全部で6種類。魔法の名前はシンプルに、《(ダーク)》《(ファイヤ)》《(ウォーター)》《(ウィンド)》《(ソイル)》《(ライト)


大丈夫。

俺なら、できる。

絶対に、生き延びてみせる。

メリル達を悲しませたくないから。

それに……俺自身も生きることを渇望しているから。


『燃え盛る()よ、我の周辺に寄り集まり()()せよ《(ファイヤ)》』


 まず最初に俺の周辺に火の壁を張る。


「アッツゥゥ!!……魔法か?って、おい待てコラァ!」


 相手が、火の熱さと俺が魔法を行使したことに怯んだ隙に、身をよじっておっさんの手から逃れる。


 3歳時の身体である俺の足ではメリルのもとに辿り着く前におっさんに捕まってしまう。



 ……俺が普通の子供なら、ね。



『この世の闇よ、光を()()させ周辺を()()に染め上げよ《(ダーク)》』


 普通は就寝時に部屋を暗くする魔法だけど……まあいっか。


 これでおっさんは俺の姿が見えない!


「メリル!!」


 後は、全力ダッシュだ!

 おっさんのが俺の姿を発見できない内に、メリルの元へ!

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