43,謁見しました
そんな話をして、場が和んだ瞬間を見計らって……
「カイン君。服の話は一旦置いておいて、次はこれを見てほしいんだ。これは私が考えたゲームでね」
そこで取り出すのは52枚+1枚のカード。
「このカードは? ♡◇♤♧と数字が描いてありますが?」
これは……トランプだ!
この世界には無いのさ。
この世界の娯楽って、チェスぐらいしかないんだよね。
本当は俺が考えた訳じゃないから、嘘をついたことに良心が痛むけど、しょうがない。前世でこのゲームを考えた人、本当にごめんなさい。
「これはトランプと言ってね、ゲームをするためのアイテムなんだ。例えばこのカードをこうして、こうすると……」
俺はババ抜き、7並べ、大富豪など、沢山のゲームを伝授した。
「このゲームは……! このカードは、娯楽界を揺るがすアイテムになる! レオン様、売れますよ。っていうか、売りましょう。早速父上に掛け合ってみます!」
商会の息子だもんね。売る話になると思った。まあ、それを狙ったんだけど。
「落ち着いて下さい、カイン君。売るにしても、父上の許可が必要ですし」
「では、売ることには乗り気だと! 素晴らしい! 素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい! では、また日を改めて、お話しを致しましょう! とても楽しい時間でした! ありがとうございました!」
そう言うと、物凄い勢いで去って行った。
予想以上の食らいつきだった。
次は、騎士爵だ。
「こんにちは……」
ある程度人脈を作ったところで、挨拶の列に並ぶ時間になった。
父さん達と合流してから……
「スゥー…国王陛下、ご機嫌麗しゅう。 エルメント辺境伯家が長男、レオン・フォン・エルメントと申します。国王陛下、お会いできて光栄で御座います」
息は長く吸っておかないとね!
「フム。そなたがエルメント辺境伯の息子……」
何、その、汚らわしいモノを見るような目。
「親と似て田舎者の顔だな」
やっぱりコイツもバカだ。
リフチーノ侯爵家と同様。
「辺境の者ですので。目が汚れてはいけませんので、下がらせて頂きますね」
貴族語:辺境伯の息子だもん。あたり前じゃん。そんなに嫌なら、去るよ。
「うむ。目が汚れる前に去れ」
ホイホイ。GoodBye〜
仕える価値が無い人に会いたくも、話したくもないよ。出て行きたかったけど、こっちから言うと不敬罪で捕まるし…って悩んでたら、相手から退出命令が来た。ラッキー。
次の投稿は11月10日です。




