42,人脈を作ろうと思いました
「不敬も何もあるか! もういい。父上! コヤツに罰を!」
だーかーら、侯爵じゃ辺境伯を罰せないの!
って、聞こえないか。
「ナルブァイア・ウィル・クロシアム国王陛下、リディア・ウィル・クロシアム王妃殿下、リアン・ウィル・クロシアム王太子殿下、ご入場」
ナイスタイミング!
リフチーノ侯爵が出てくると、話がややこしくなる。
復讐し足りないけど、この国のTopが来たんじゃ、しょうがない。
今回は大人しくしておこう。
「皆、元気にしておったか? 今日は各々の息子、娘のデビュー祝じゃ。そんな、堅苦しくせんで良い。楽にして良いぞ」
これは、社交辞令。
本気でラクにしたら、不敬罪で捕まるから注意!
そして、国王陛下への挨拶は、身分が高い順。俺は、まだ時間がありそうだし、人脈作りでもしておこうかな。
リフチーノ侯爵家のお坊っちゃんは、挨拶の列に既に並んでるし。
今は、特級貴族と、上流貴族の人は挨拶に行ってるから、俺が挨拶をしているときに話し掛けられない人。つまり、下流貴族の人に話しかけておこう。
同じ中流貴族の人は、挨拶が終わった後にも話し掛けられるし。
最初に話し掛けるべき人は……
「こんにちは。ラードン子爵令息」
ラードン子爵令息の長男。マダム・シベラーとも取引をする、王都で有名なラードン商会の跡取りだ
「エルメント辺境伯令息。お初にお目にかかります。ラードン子爵家が嫡男、カイン・フォン・ラードンと申します」
「カイン君、君とちょっとお話しがしたいのだけど、良いかな?」
身分が上であることを示さなければならない。正直、面倒。
「勿論です。エルメント辺境伯令息」
「レオンで良いよ」
「では、レオン様と」
流石、商会の跡取り。礼儀作法はバッチリだ。
うん。家の力も申し分なくて、教養も良くできている。
良い感じ!
「マダム・シベラーについて訊きたくてね」
身近なところから話を進めていく。
警戒されないようにしないと。
「マダム・シベラーについてですか……?」
「そうそう。私が今着ている服も、マダム・シベラーが仕立ててくれたのだけど、私の好みに合っていなくてね。それで、私がデザインした服を作ってもらうことはできるのかな?」
話を、マダム・シベラーについてから、少しずつ商売に持っていく。
「レオン様がデザインした服でございますか?」
次の投稿は11月8日です。




