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第2話 この世界と自分

5月1日 編集致しました。

迷惑メールが来たから、とりあえず開けてみる。


 どれどれ、


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


   レオンヘ



   元気にしてるかい?

   私からの動画のプレゼントは、気に入ってく

  れたかな〜?


   さてと、本題に入るとしますか。


   最近、舌がまわらないことが多いんじゃない

  かい?

   レオンは転生者だから、前世の知識〜とか言

  って、小さい頃からチートにならないように、

  君にいくつかの制約をかけたよ〜。


   あっそうそう、ちなみに、君の死因はねぇ、

  トラックにひかれたことだよ。ドンマイ。


   で、まあ、そんな事はどうでも良くて、君に

  かけた制約の一つが、『他の人の前で、子供の

  うちは大人っぽい口調で話さない事』だよ〜。


   一応知らせとこうと思って

   ねーちゃんが知らせろってうるさいし。



   じゃあ、バイバイ〜。



                  ラズリより


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 ・・・・・・。



 ……色々言いたい事があるが、ひとまず最初にこれを言わせてくれ。


 俺が死んだ事を、『そんな事はどうでも良くて』で、終わらせないでくれ〜〜〜。



 深呼吸、深呼吸。


 ……すぅ


 ……ふぅ


 ……すぅ


 ……ふぅ


 ……すぅ


 ……ふぅ


 ……大分落ち着いてきたかな。



 では、前回同様、重要ポイントを探す。



 ・転生


 ・制約


 ・ねーちゃん



 とりあえず、1つ目の転生について。


 前の手紙で、異世界に来てしまった事が分かったが、今回の手紙によって、転生によって、異世界に来てしまった事が100%確定した。


 ……前世の両親は、俺の死体を見て、何を思ったのだろうか?


 …かわいそう?


 …痛かったね?


 …バカ息子?


 …親より先に死ぬ、親不孝者?


 俺には、分からない。


 俺は、父さんと違って、見ただけで覚えられる、天才じゃないから。


 俺は、母さんと違って、聞いただけで実行できる、天才じゃないから。


 だから、俺には分からない。


 あの人たちの考える事が。


 天才じゃないから。


 愛してくれていたのかも、分からない。


 俺の親族は、天才と天才の間に生まれた子供が天才では無いことに失望していた。


 その失望を少しでも減らすために、俺は努力して、努力して、努力して、努力したのに、


 『いくら努力したって、天才には近づけなかった』


 顔に慈愛の笑みを浮かべている母さんが、裏では俺に失望して、劣等品と思っていないか、怖かった。


 俺に優しい言葉をかけてくれる父さんが、裏では俺に失望して、不良品、と罵っていないか、怖かった。


 今思えば、いつも俺は怯えていた。


 体ではなく、心が震えていた。


 今世でも、俺は震えて過ごすのだろうか?


 天才じゃないから。


 ……でも、俺は前世で唯一心が震えない場所があった。


 親友の側だ。


 親友は、俺に色々な事を教えてくれた。


 ラノベ小説の面白さ。運動をする事の楽しさ。


 数え出したらきりが無いくらい、沢山のことを教えてくれた。


 失望を少しでも多く埋めることだけを考えていた俺に。


 俺はもう前世の世界では死んでしまったから、親友に会うことはできないけど、親友が教えてくれた、世界の広さと、楽しさを、俺はこの世界で実感したいと思う。


 今まで、何回も、異世界に来てしまったと実感する場面があったけど、俺には覚悟が足りていなかったのだと思う。


 新しい世界に羽ばたいていく覚悟が。


 ねぇ親友、いや藤宮(ふじみや)(あかつき)、君が教えてくれた事を今から実感してみるよ。




◇◇




なんか、ちょっと悲しくなってきちゃったけど、泣くのは後にして、次に制約について考えてみる。


 いくつあるか分からないけど、どーしようもない。解除の仕方は後々考えたり、探したりするとして、まずや最初にするべきことは、どんな制約があるかだ。


『他の人の前で子供のうちは大人っぽい口調で話さない』   


 は、まぁ、あまり制約!!っていう感じじゃ無いかな?

 とりあえず、何が出来て、何ができないのかを知ることから始めていこう。



 最後ー。


 ラズリに姉がいた。

 …

 ……

 ………


 俺自体にあまり関係は無いが、なんとなく、役に立ちそう。


 今回も、ラズリが制約の存在を教えるきっかけになった訳だし、上手く行けばラズリから新たな情報を引き出せるかもしれない。



 とっ、まあ、こんな感じかな?


 もうそろそろ、今世の父さんである、アルフレッド父さんに俺が目覚めた事を伝えた、メリルが帰って来るかな?


 そういえば、俺は貴族の息子っていう立場な訳だし、一人称は皆の前では『わたし』が良いかな?


 アルフレッドさんや、アリアーヌさんのことも、『おとうさま』と『おかあさま』が良いかな?


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 複数人の足音を確認!


 メリルかな?


「レ、レオン! 心配したぞ!」


 と言って扉から物凄い勢いで飛び込んできた、見た感じ20代位の黒の瞳に深緑の髪の毛の男の人が、俺の父さんの、アルフレッド。


 その次に部屋に飛び込んで来た、空色瞳に黒色の髪を持つ美女さんが、この前も会った、俺の母さんの、アリアーヌ。


 ……俺の黒目黒髪は、父さんから瞳の色を。母さんから髪の色をそれぞれ受け継いだようだ。


「うん! おとうさま、おかあさま、しんぱいさせてごめんね。わ…」


 わたしはもう大丈夫…と言おうと思ったが、声が出なかった。これは、大人の口調に含まれるらしい。わたしでダメなら、『ぼく』かな?


「ぼくのびょうきはなおったよ。おかあさまも、あんしんして。おかあさまのこともしっかりとおぼえているから」


『ぼく』は大丈夫らしい。


「レオン、私の、アリアーヌのことを覚えているのね! 良かった! 本当に!」


「アリア、良かったな」


「ええ、アル!」


 お互いを愛称で呼びながら目の前でハグをする二人。


 ラブラブじゃん。


「ご当主様、奥様、レオン様が困っておりますよ」


 苦笑いしながらそう言ったのは、エルメント家に仕えて40年経つ、執事長のセバスだ。

 彼は確か、今から5年前…俺が生まれる前に隠居した、先代エルメント辺境伯の乳兄弟だ。


「あぁ、ごめんね、レオン」


「レオン、しっかりと休んで、病気をぶり返さないようにするんだぞ」


 二人はそう言うと、俺の額にキスをして……


 キス!?


 自分の顔の色が分かる。


 りんごと同じぐらい、真っ赤だ!


 は、恥ずかしい……


 イタズラが成功した子供みたいな顔をした、アリアーヌ母さんとアルフレッド父さん達は部屋から出ていった。


やっぱり、恥ずかしい〜〜〜


このままでいると『恥ずかしい』という思考で頭が埋め尽くされそうなので、別のことを無理やり考える。

すると、ふと、


俺は何故、転生したのだろう?


と、思った。

前世で目立った特技の一つも持っていなかった俺が、此処(異世界)に来た意味は……?


まあ、いっか。

考えていても、しょうがない。

俺が知らなくて、それで、誰が知っているんだ。

未来の俺か、あるいは、神か……


俺が生きる意味も、此処(異世界)に来た意味も、俺が決める。俺自身が。


誰かが敷いたレールの上を走るような人生は、前世で経験した通り、全然面白くない。


だったら……



『今後、何をすれば良いかは分からないが、大分状況が分かってきたし、新しい世界で新しい生活を送ろうではないか!!』




◇◇




 と、意気込んでから、2ヶ月がたった。


 この2ヶ月間何をしていたのかというと……


 この世界についての情報収集だ。


 地球とどう違うのか、

 何が出来て、何が出来ないのか……etc.


 主に情報収集は、エルメント家の図書室で調べたり、セバス達に聞いたりした。


「セバス、このくにをおさめているのは、だあれ?」


 ちなみに、最近では、大人っぽい口調がどんな口調なのかが、大体分かってきた。


「レオン様、この国を治めていらしゃるのは、52代国王 ナルブァイア・ウィル・クロシアム国王陛下でございます」


「ナルブァイアこくおうへいか……セバス、ありがとう!」


とまあ、こんな感じで。

いきなり知識欲旺盛になった俺を見て、最初は皆、驚いていたけど、最近では俺を微笑ましそうに見守ってくれている。

俺は、本当に良い環境に転生したなぁ。




◇◇




 エルメント家の図書室は、図書館並みに広かった。


 本を探すだけで一苦労。


 しょうがないから、端の方から順に、読めそうなやつから読んでいった。



 2ヶ月間で得た情報は5つ。


 1, 地球とどう違うのか?


 2, 魔法、スキルは存在するのか?


 3, 魔物は存在するのか?


 4, エルメント辺境伯家の立ち位置は?


 5, この国(クロシアム王国)の歴史・文化



 それに対する答えは、



 1, 地球と環境はほぼ変わらない。砂漠があったり、雪が溶けない地域もある。しかし、大気中に『魔素(まそ)』があったりと、違う点がいくつかある。例えば、大陸の数が分かっていなかったり、スキル・魔法があったり、魔物がいたりする。人間以外の種族もいて、エルフ、ドワーフ、獣人、精霊などがいる。


 2, 存在する。魔法には種類がいくつかあるらしい。それ以外はよく分からなかった。


 3, 存在する。魔物は元々はただの獣だったり、虫だったりするらしい。


 4, この、クロシアム王国は爵位制で、身分が高い順に王族、公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、(近衛騎士)、準男爵、一般騎士、(平民、奴隷)と、なっている。


 辺境伯は領地が国境付近である代わりに魔物や他国の攻撃に備えるために軍を所持する事が許可されている。また、魔物や他国の攻撃があった場合はその年の税金の収集が免除される特権も持っている。


 5, かつて世界を救った英雄の子孫が約2000年前に建国した国だと伝えられている。この世界で知られている国の中では一番歴史がある王国。約1000年前に大きな内乱があり、そこで1度国が滅んだが、約10年後に再建国し英雄の血筋は途切れることなく今に伝わっている。






 どれも、『やさしい○○入門』と書いてある本から得た知識なので、詳しくは分からなかった。


 次、次!


 次は待ちに待った魔法専門の本を読む。

 ついさっき、本棚の中に埋もれているのを発見したんだ。


『魔法がある世界に行ったら、魔法を極める!』


 これが、前世からの夢だったからな。

 前世では、絶対に叶わない夢だと思って、諦めていたのに……まさか、俺の前世の『命』を代償とはしたが、夢が手に届く範囲に来るとは……


 ドキドキ

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