番外編5 その頃のラズリ ⑤
その個体名は、レオン。
レオン・フォン・エルメント
前世の記憶持ちとしてプログラムしたのだと思っていた。
でも、違った。
プログラムをしていなかった。
プログラムをしていない。
それはつまり、運命がないということ。
私の力では、制御できない。
制約をつけることは可能だけど……それだと、レオンの魂のバランスが、悪い方へ著しく傾いてしまう。
制約で魂を縛るのだから。
レオンのことを、迷い人だと思っていたうちは良かった。魂が迷うのは、自分でどうこうできる事ではないが、罪であり、多少制約を設けたところで、罪の償いとしておけば良い。
しかし、私達のミスが原因なら?
勿論レオンに何の罪もなく、むしろレオンは被害者であり、バランスを良い方向に向けても良いぐらいだ。
でも、私はレオンに制約を付けたまま。
レオンが『プログラムミス』であると知ってから、何回も制約を解除しようとした。
なのに、できなかった。
そのちょっと前までは、制約を自由に解除できたのに!
それどころか、制約を一時的に無効にしてみたり、軽くしてみたり……と、レオンで遊ぶこともできたのに!
原因はまだ不明だけど、何かが邪魔をしている気がする。
まあ、いつかは解除できるでしょう。
それよりも、制約を解除できない分の埋め合わせをしないと……
レオンの有益になる物で、だけど、レオンがチートにならないようにする。世界を滅ぼされたら、たまったもんじゃない。
私は、おねーちゃんが想像したものしか、私は創造できないから……おねーちゃんにも考えて貰おうかな。
しばらくして、そうぞう神ラピスラズリの力により、1つの能力が創り出された。
自分で考え、学習し、魂そのものに寄生する能力が。
その能力は、2つの使命を産まれながらにして持っていた。
一、レオンの助けになること。具体的には、ステータスの管理、話し相手、生活習慣の管理など。
ニ、レオンの手綱を引くこと。暴走しそうなときは、強制的に眠らせたりする。レオンにとって有益な情報でも、世界にとって害がある情報の場合、シャットダウンしたりする。
あくまでも、
一の使命>二の使命
で、レオンの元に遣わされたその能力は、レオンに、神々に、そして世界に、多大なる影響を及ぼすことになるなど、まだ誰も知らない。
これで番外編は終了です。
次回からは本編に戻ります。
次の投稿は10月11日です。




